EU(欧州連合)が進めてきた「児童保護」を名目とするチャットコントロール法。
その裏で、たった1人のソフトウェアエンジニアが開発した“スパムのような抗議サイト”が、この巨大な監視法案の行方を変えようとしています。
このユニークな市民プロジェクト「Fight Chat Control」が、いまヨーロッパのデジタル自由を守る最前線に立っています。

🧩 チャットコントロール法とは?「児童保護」の名の下に通信を監視する危険な法案
欧州委員会が推進する「児童性的虐待規制案(通称:チャットコントロール法)」は、
すべての通信内容・添付ファイルのスキャンを義務化するという極めて強権的な仕組みを導入しようとしています。
名目上は児童保護のための法案ですが、実際には以下のような懸念が指摘されています👇
- 🔍 政府が個人のメッセージや画像を検閲可能になる
- 🧱 薬物使用・政治批判・抗議活動などへの監視拡大の恐れ
- ⚠️ 誤検出や悪用による一般市民の被害リスク
さらに、児童ポルノの多くはオフライン環境で作成されている現実があり、
通信監視による効果は限定的との批判も根強く存在します。
暗号化を前提としたSignal・WhatsApp・Telegramなども対象となるため、
実質的に「すべてのオンライン通信が政府に監視される」ことになりかねません。

💻 1人のエンジニアが立ち上げた「Fight Chat Control」プロジェクト
そんな中、デンマークのソフトウェアエンジニアヨアヒム氏が開発したウェブサイト
👉 Fight Chat Control が大きな注目を集めています。
このサイトでは、
- チャットコントロール法の危険性をわかりやすく解説
- 各国政府の立場を一覧表示
- ワンクリックでEU議員や政府関係者に「反対メール」を自動送信
といった仕組みを提供。
要するに「抗議メールを一斉送信するためのツール」です。
ページ下部にはフォームが設置されており、ユーザーは自分のメールクライアント経由で
議員宛てにメッセージを一括送信できます。
このメール送信量が爆発的に増え、EU各国の政治家の受信箱を圧迫しているのです。

📩 EU議員たちの悲鳴「毎日数百通のメールが届く!」
スウェーデン社会民主党の欧州議会議員エヴィン・インシル氏は、
「Fight Chat Control関連のメールが毎日何百通も届いている」とコメント。
また、EU加盟国の常駐代表事務所に勤める複数の外交官も、
「過去に例のない数の抗議メールを受け取っている」と証言しています。
ヨアヒム氏自身は、匿名性を保ちながらもすべて自己資金でサイトを運営。
この市民発のオンライン運動は、
5万人以上の署名と推定数百万通のメール送信を生み出しています。
POLITICOによると、サイトへのアクセス数は10月初旬時点で約250万人に達し、
その大半がEU域内からのアクセスでした。

🇩🇪 ドイツが反対に回る!流れを変えた「Fight Chat Control」の影響力
2025年10月8日、EU最大の加盟国であるドイツがついにチャットコントロール法に反対を表明。
この決断の背後には、Fight Chat Controlによる市民からの圧力があったとされています。
EU理事会の採決では「特定多数決(Qualified Majority Voting)」が採用されており、
法案を否決するためには👇
- 反対国が4カ国以上
- その合計人口がEU全体の35%以上
が必要です。
ドイツはEU人口の約19%を占めているため、反対姿勢は極めて大きな意味を持ちます。

🏢 欧州企業も反対の声、40社が共同声明を発表
技術企業・通信プロバイダ・セキュリティ企業など40社以上の欧州企業が、
チャットコントロール法に反対する公開書簡を提出しました。
「暗号化のバックドア義務化は安全保障の崩壊につながる」として、
政府による過剰な監視の危険性を警告。
企業・市民・政治家の三方向から、法案への反発が急速に強まっています。
🔐 自由を守る「スパム」の力、そしてこれから
一見“スパム行為”とも思えるFight Chat Controlの活動。
しかし、それは「民主主義のためのデジタル抵抗」として機能しています。
監視社会化の流れに対して、個人が技術で抗う姿勢は多くの支持を集めています。
10月14日に予定される最終投票で、この市民運動がどこまで影響を及ぼすのか。
EUのデジタル自由をめぐる戦いは、いよいよ最終局面を迎えます。
🧠 参考リンク
- POLITICO – One-man spam campaign ravages EU ‘chat control’ bill
- Fight Chat Control公式サイト
- The Register – Germany slams brakes on EU’s Chat Control snoopfest
- Tuta – 公開書簡「ヨーロッパの未来がかかっている」

