私たちはよく、「異性にモテるには○○な見た目がいい」という“イメージ”を持っています。
男性なら「筋肉質で男らしいほうが女性に好かれる」、女性なら「細くて少女のような見た目が男性に好かれる」──そんな思い込みは長年存在してきました。
しかし、セント・アンドリュース大学の最新研究によると、この“モテの理想像”は実際の異性の好みと大きくズレている可能性が高いことがわかりました。しかも、このズレは体型だけでなく「顔つき」にまで及んでいるのです。

研究概要|理想の体型・顔つきのギャップを検証 🧪
1. 過去研究でわかっていたこと
これまでの研究では、「自分が理想だと思う体型」と「異性が理想だと思う体型」に差があることが確認されていました。
例として、男性は“筋肉質すぎる”体型を理想とし、女性は“痩せすぎ”な体型を理想と考える傾向が強い。しかし、実際の異性はそこまで極端な体型を好んでいないことが多いのです。
2. 新たな焦点は「顔の特徴」
セント・アンドリュース大学の心理学教授デイビッド・ペレット氏らの研究チームは、体型だけでなく「顔の男らしさ・女らしさ」でもズレがあるのではないかと仮説を立てました。
研究では、50人の男性と68人の女性の顔写真を元に平均顔を作成し、それを3Dで加工して
- 男性の顔:-100%(女性化)~+200%(男性化)
- 女性の顔:-100%(男性化)~+200%(女性化)
の範囲で段階的に変化できる画像を用意しました。

実験結果|男女の認識ズレが鮮明に 📊
被験者には、「短期的または長期的な関係を結ぶなら、どの顔が魅力的か?」を選ばせました。
- 男性の顔を提示
- 男性回答者:平均91%の“男性化”が理想
- 女性回答者:平均33%の“男性化”が理想
→ 男性は女性が望むよりも、はるかに“男らしい顔”を理想だと思っていることが判明。
- 女性の顔を提示
- 男性回答者:平均127%の“女性化”が理想
- 女性回答者:平均184%の“女性化”が理想
→ 女性は男性が望むよりも、さらに“女性らしい顔”を求められていると感じている。
研究チームは「男性は女性が好む“男らしさ”を、女性は男性が好む“女性らしさ”を、それぞれ過大評価している」と結論づけています。

自己評価との比較|「自分は魅力的じゃない」という誤解 😟
被験者は自分の顔の“らしさ”の度合いも評価しました。
- 男性:自分の男らしさを37.2%、理想を65.3%と判断
- 女性:自分の女性らしさを124.0%、理想を161.5%と判断
この差は、自分の容姿に不満を持つ原因になり、過剰なダイエットや筋トレなど健康を損なう行動に繋がる恐れがあります。

続いて研究チームは被験者に対し作成した顔の画像をそれぞれ提示し、「異性との短期的または長期的な関係を結ぶにあたって、最も魅力的だと思う顔に変化させてください」との指示を与えました。以下がその結果。男性の顔を提示した場合、短期的な関係を結ぶ際に魅力的だと判断する平均量は男性の被験者だと91%でしたが、女性の被験者では33%でした。つまり、男性は女性に比べてより男性化した顔を「魅力的」と考えることが明らかになりました。

女性の顔を提示した場合でも同様の結果が報告されており、男性は短期的な関係を結ぶ上で魅力的だと思う平均量が127%だった一方、女性は184%であり、男性に比べて女性はより女性化した顔を「魅力的」だと判断することが報告されています。研究チームは「女性は男性のパートナーが好むだろう顔の女性らしさを過大評価しており、対称的に男性は女性のパートナーが好むだろう顔の男らしさを過大評価しています」とまとめています。
まとめ|思い込みを手放し、自分らしい魅力を大切に ✨
この研究は、
- 男性も女性も、異性が求める魅力を誤解している
- その誤解が外見コンプレックスや健康リスクに繋がる可能性がある
ということを示しています。
「もっと男らしく」「もっと女性らしく」というプレッシャーは必ずしも必要ではありません。実際の好みは意外と穏やかで、極端な特徴を求めていないのです。
美容や健康のための努力は大切ですが、“思い込み”に縛られず、自分らしい魅力を伸ばすことが本当の意味でのモテにつながるのかもしれません。