なぜタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類なのか? 生命の進化の謎に迫る最新研究

なぜタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類なのか? 生命の進化の謎に迫る最新研究 #ニュース・社会・コラム
なぜタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類なのか? 生命の進化の謎に迫る最新研究

なぜタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類なのか? 生命の進化の謎に迫る最新研究

約20種類のアミノ酸だけが選ばれた理由

私たちの体を含む生物のタンパク質は、500種類以上存在するアミノ酸のうち、わずか20種類のアミノ酸から構成されています。これらのアミノ酸は、「初期アミノ酸」と「後期アミノ酸」に分けられ、最初に形成された原始的な地球環境から選ばれた10種類の「初期アミノ酸」と、その後追加された10種類の「後期アミノ酸」で構成されています。この選択がどのように行われたのか、そしてそれが生命の進化にどのように関与したのかは長年の謎とされていました。

フォールディングと機能性がアミノ酸の選択に影響

ジョンズ・ホプキンス大学の生物物理学者スティーブン・フリード氏らの研究チームは、地球の初期環境を模した実験を行い、様々なアミノ酸の組み合わせが古代のタンパク質を形成する際にどのように選択されたかを調査しました。結果、タンパク質の機能を支える「フォールディング(折りたたみ構造)」に最適なアミノ酸が選ばれるという自然淘汰が働いたことが明らかになりました。フォールディングがうまくいくと、タンパク質は分子や周囲の環境と効果的に相互作用できるため、生命活動において不可欠な役割を果たします。これにより、後期アミノ酸が優れた機能性を提供するために選ばれたと考えられています。

生命誕生前に進化が始まっていた可能性

この研究により、生命が誕生する前から進化的な選択が行われていた可能性が示唆されました。Science Alertによると、タンパク質が特定の機能を果たすために最も適したアミノ酸が選ばれたことは、生命の構成要素が自然淘汰によって選ばれたことを意味すると報じています。フリード氏も「DNAやRNAのような遺伝分子が登場する以前に、自然が生物にとって有用な構成要素を選択できたことは、進化の始まりが生命の始まりに先行していたことを示しています」と述べました。

鶏と卵の関係を超えた生命の進化

DNAの複製や細胞の形成にはタンパク質が不可欠であり、従来の考えでは「鶏が先か卵が先か」のような関係が指摘されていましたが、今回の研究はこの問題にも新たな視点を提供します。フリード氏の言葉を借りれば、「ダーウィン的な進化の以前から、フォールディングによって生物に有用な性質を持つ化学物質が自然に選択されていた」ということです。これは、生命が誕生する以前にすでに進化的なメカニズムが働いていた可能性を示唆します。

他の惑星での生命の可能性も示唆

この研究結果は、地球以外の惑星に生命が存在する可能性にも重要な示唆を与えています。フリード氏は「宇宙はアミノ酸が豊富であり、他の惑星で生命を見つけたとしても地球上の生物とそれほど大きく異ならないかもしれません」と述べています。つまり、生命の基本要素として選ばれたアミノ酸が普遍的であれば、他の惑星でも同様の進化が可能であるかもしれないのです。

まとめ:進化と生命誕生の謎に迫る新たな一歩

今回の研究は、地球上での生命の起源に関する新たな理解をもたらすだけでなく、宇宙における生命の普遍性についても示唆しています。タンパク質の構成要素として特定のアミノ酸が選ばれた理由には、生命の進化に不可欠なフォールディング機能が深く関わっていた可能性があり、進化は生命誕生前から始まっていたかもしれないという新たな視点を提供しています。このような視点は、宇宙における生命探査の可能性も広げており、科学の進展とともに生命の本質に迫る研究が今後も期待されます。

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