集中していたはずなのに、いつの間にか別のことを考えていた──そんな経験はありませんか?
このような状態は「マインドワンダリング(Mind Wandering)」と呼ばれ、注意が現在のタスクから逸れてしまい、無関係な思考に没入する現象です。近年ではこのマインドワンダリングとスマートフォンの使用習慣の関係が注目されています。
2025年にアメリカのウェイン州立大学の研究チームが発表した論文によれば、スマートフォンの使用頻度が高い人ほど、非意図的なマインドワンダリングを起こしやすい傾向があることが明らかになりました。

🧠 マインドワンダリングとは?──気づけば別のことを考えてしまう心の現象
マインドワンダリングは、以下のような状態を指します:
- 📘 本を読んでいるのに、頭の中では別のことを考えていて内容が入ってこない
- 🧽 単純作業中に、意識が別の場所に飛んでいて手が止まってしまっていた
- 🛏️ 就寝前、ふと別の悩みごとや未来の計画が浮かんで集中が途切れる
このような“さまよう思考”は、意図的に起こることもあれば、無意識のうちに生じることもあります。今回の研究では、特に非意図的(spontaneous)なマインドワンダリングとスマホ使用との関連に焦点が当てられました。

📊 研究概要:iPhoneユーザー188人のスクリーンタイムデータを分析
この研究では、アメリカの大学生188名(全員iPhoneユーザー)を対象に実施され、彼らの**「スクリーンタイム」機能**を活用して実際のスマートフォン使用時間が客観的に記録されました。
アンケートも併用され、意図的なマインドワンダリングと非意図的なマインドワンダリングを区別するための質問項目が用意されました。
主な調査内容:
- 📱 週ごとのスマホ使用時間(特にソーシャルメディア)
- 🧠 マインドワンダリング傾向のスコア
- 🔔 スマホ通知の受信頻度
- 🌐 オンラインへの意識(オンライン警戒度)

📱 「スマホをよく使う人=思考がさまよいやすい」?
研究によると、1週間あたり平均17時間以上をソーシャルアプリに費やしていた参加者は、非意図的なマインドワンダリングスコアも高い傾向にあることが分かりました。
この結果から、**スマートフォンが常に意識の片隅にある「オンライン警戒状態」**にある人ほど、現在のタスクから注意が逸れてしまいやすい可能性があると考えられます。
また、研究チームはこの状態を「スマホ依存」とは区別し、一種の“意識の過剰な外部接続”状態と位置づけています。

🔔 通知が集中を妨げる可能性も
スマートフォンの通知も、マインドワンダリングを誘発する要因の1つとして注目されました。
通知が来るたびに意識が「切り替わる」ことで、元のタスクに集中しづらくなり、非意図的な思考の逸脱が起こるリスクが高まります。
これは特に、**常に誰かとつながっていなければならないというプレッシャーや、FOMO(取り残される恐れ)**が背景にあるとされます。
⚠️ 因果関係は未確定、だが関係性は有意
研究は相関分析であり、スマホがマインドワンダリングを引き起こすのか、それともマインドワンダリングしやすい人がスマホを使いがちなのか、因果関係は不明です。
しかし、両者の間に有意な関連性があることは明らかにされており、今後はよりリアルタイムで思考と行動を追跡する調査手法の開発が求められます。
💡 この記事から得られるヒント
- 📵 スマホの通知を減らすだけでも集中力は改善できるかも
- 🧘♂️ 意識的に「今ここ」に戻すマインドフルネスが有効
- 📊 スクリーンタイムを定期的にチェックして使用習慣を見直そう