📁 クラウドにアップロードせず、大容量ファイルを端末間で直接転送
「AlterSend」は、Windows、macOS、Linux、Android、iOSに対応した無料・オープンソースのファイル転送アプリです。送信するファイルをクラウドストレージへ一度保存するのではなく、基本的に送信元と受信先をP2Pで接続し、写真、動画、PDF、フォルダーなどを端末間で直接転送します。アカウント登録やメールアドレスの入力は不要で、広告も表示されません。公式にはファイルサイズの上限も設けられておらず、数KBの文書から数百GB規模の動画素材まで同じ操作で送信できます。転送速度は有料プランではなく、双方の通信回線、端末性能、Wi-Fi環境などによって決まります。
AlterSendはインターネット経由だけでなく、同じローカルネットワーク内にあるスマートフォンとPCの間でも利用できます。例えば、iPhoneで撮影した大量の写真をWindows PCへ移したり、Android端末へ保存した動画をMacへ送ったりと、メーカーやOSの壁を越えた転送が可能です。Apple製品同士に限定されるAirDropや、同一ネットワークでの利用を主とするローカル転送アプリとは異なり、離れた場所にある端末同士でも利用できる点が大きな特徴です。

🔗 QRコードか短いコードで接続、ペアリング後はすぐ送信可能
基本的な使い方はシンプルです。双方の端末でAlterSendを開き、送信側に表示されたQRコードを受信側で読み取るか、「join code」と呼ばれる短い接続コードを入力します。接続後にファイルを選び、受信側が許可すると転送が始まります。自分が所有するスマートフォンとPCなどは一度ペアリングしておけば、次回以降はコードを入力せず、登録済みの端末を選択するだけで送信できます。
主な特徴をまとめると、次の通りです。
- Windows、macOS、Linux、Android、iOSに対応
- アカウント登録、ログイン、メールアドレスが不要
- ファイル容量やフォルダー容量に固定上限なし
- 同じWi-Fi内でも、離れた場所へのインターネット転送でも利用可能
- QRコードまたはjoin codeで端末を接続
- ペアリング済み端末には、次回から直接送信可能
- ファイルはエンドツーエンドで暗号化
- 広告、広告用SDK、行動追跡用アナリティクスを使用しない
- ソースコードをApache License 2.0で公開
最新版では、相手がAlterSendをインストールしていなくても、共有リンクをブラウザで開いてファイルを受け取れる仕組みも案内されています。ただし、このブラウザ受信では後述する中継サーバーが必ず利用されるため、完全な端末間直接通信とは動作が異なります。

🔐 ChaCha20-Poly1305で暗号化、ただし「一切サーバーを使わない」とは限らない
AlterSendの転送データは、Noiseプロトコルを利用し、Curve25519による鍵交換とChaCha20-Poly1305によってエンドツーエンド暗号化されます。セッションごとに新しい暗号鍵が作られるため、転送経路の途中にいる第三者や中継サーバーが、ファイル名やファイルの内容を読み取れない設計です。また、転送されたファイルをAlterSend側のクラウドストレージへ保存する仕組みもありません。ソースコードが公開されているため、技術に詳しい利用者や研究者が実装内容を確認できる点も、一般的な非公開型ファイル転送サービスとの違いです。
一方で、「転送用サーバーを一切使わない」という説明は、厳密には注意が必要です。双方の端末がVPNや企業ネットワーク、厳しいNAT・ファイアウォールの内側にあり、直接接続できない場合は、初期設定で有効になっているリレー機能によって、ドイツ・フランクフルトまたはシンガポールの中継サーバーを経由する可能性があります。中継されるデータは引き続き暗号化され、運営側は内容を復号できないと説明されていますが、サーバーからは双方のIPアドレス、通信量、通信時間などを確認できる可能性があります。リレー機能は設定から無効化できますが、その場合はネットワーク環境によって接続できなくなることがあります。

⚠️ 容量無制限でも、速度・端末の稼働・IPアドレスには注意
AlterSendの「容量無制限」は、クラウドサービスのような2GB、10GBといった運営上の固定上限がないという意味です。実際の転送では、送信側と受信側の空き容量、上り・下り速度、Wi-Fiの安定性、スマートフォンの省電力制御などに左右されます。クラウドにファイルを預ける方式ではないため、転送が完了するまで原則として送信元端末を起動し、AlterSendを通信可能な状態にしておく必要があります。200GBのファイルを送れる設計であっても、回線の上り速度が遅ければ数時間以上かかる可能性があります。

セキュリティとプライバシー面では、次の点を理解しておく必要があります。
- 公開DHTを使った端末探索では、接続に使うIPアドレスが一時的に他のDHT参加ノードから見える可能性がある
- リレー利用時は、運営サーバーから双方のIPアドレスや転送量、通信時間を確認できる可能性がある
- ブラウザ受信は常にリレーサーバーを経由する
- join codeやQRコードを第三者に見せると、意図しない相手が接続を試みる可能性がある
- 機密ファイルを受信した場合は、送信者とファイル名を確認してから保存・実行する必要がある
- クラッシュレポートは任意で有効化でき、有効時には端末情報やエラー情報がSentryへ送信される
公式プライバシーポリシーでは、氏名、メールアドレス、電話番号、位置情報、広告識別子などは収集せず、クラッシュレポートも初期状態では無効と説明されています。Google Playのデータセーフティ欄でも、第三者とのデータ共有や通常時のデータ収集はないと申告されています。ただし、アプリストアのプライバシー表示は基本的に開発者による自己申告であるため、オープンソースであることを含めても「無条件に安全」と断定するのではなく、機密性に応じて設定や通信環境を確認することが重要です。
など、専用アプリをインストールするだけで、ファイルを簡単に共有できます。◆AlterSendの使い方iOSからPCへファイルを転送するには、送信したいファイルを選択して「共有」アイコンをタップ。

✅ まとめ:クラウドを介さず、OSを越えて大容量ファイルを送りたい人に有力
AlterSendは、アカウント作成やクラウドへの事前アップロードを省き、PCとスマートフォンの間で大容量ファイルを直接送りたい場合に便利な選択肢です。Windows、Mac、Linux、iPhone、Androidを横断して利用でき、同じWi-Fi内だけでなくインターネット越しの転送にも対応しています。容量制限、広告、ログインがない点は魅力ですが、接続状況によっては暗号化された通信がリレーサーバーを経由することや、P2P探索時にIPアドレスが見える可能性は理解しておくべきでしょう。日常的な写真・動画の移動から、大規模な制作データの受け渡しまで、クラウドストレージとは異なる「その場で直接送る」用途に適したファイル転送アプリです。
参考・出典
- AlterSend公式サイト「The private way to send anything」
- AlterSend公式プライバシーポリシー
- GitHub「denislupookov/altersend」
- Google Play「AlterSend: File Transfer」
- App Store「AlterSend: File Transfer」
