リモートワークの普及は警察組織にも波及しましたが、その裏で“在宅勤務の闇”が浮き彫りになっています。
イギリス各地の警察で、勤務中に何もしていないにもかかわらず「働いているように見せかける」行為――
いわゆる**「キージャミング(key jamming)」**が横行していたことが判明しました。
中には、わずか1つのキーを1万6000回も押して勤務を偽装していた警察官までいたとのことです。
👉 参考:The Register – UK cops caught key jamming to avoid remote work

💻「キージャミング」とは?
リモート勤務の“働いてるフリ”テクニック
「キージャミング」とは、1つのキーを何度も自動または物理的に押し続けることで、
パソコンの活動ログを“勤務中”と見せかける行為のこと。
在宅勤務ではPC操作記録(キーストロークやマウス動作)をもとに勤務状況を確認する仕組みが導入されており、
このシステムを逆手に取ったのがキージャミングです。
🧠 例えば、重りやペンなどをキーの上に置くだけでも「入力が継続している」と記録されてしまうケースがあります。
まさに“働かずして働く”不正テクニックと言えるでしょう。

🕵️ダラム警察では「Iキー」が1万6000回押されていた
最も衝撃的な事例が発覚したのは、イギリス・ダラム警察(Durham Police)。
捜査の結果、元刑事のナイル・サブロン氏(Niall Sablon)のPCでは、
2024年12月3日から2025年1月13日までの期間に38回ものキージャミング行為が確認されました。
取得された操作ログによると、
- 「I」キー:約1万6000回
- 「H」キー:約30回
という異常な打鍵パターンが検出されたとのこと。
レイチェル・ベーコン署長はこの件について、
「国民は警察官に誠実さと勤勉さを期待しています。今回の行為は明らかな不正であり、信頼を裏切るものです。」
と強い非難を表明。
サブロン氏は最終的に辞職し、警察大学のブラックリストに登録され、再雇用を永久に禁止されました。

🚨マンチェスター警察でも26名が不正告発
「キージャミング」はダラム警察だけの問題ではありません。
グレーター・マンチェスター警察(GMP)でも、警察官や職員26名が勤務偽装を行っていたとして調査を受けています。
当局は業務用PCに**キーロガー(keylogger)**を導入しており、
勤務中の入力記録を確認することで、公務目的以外の利用や不正行為を監視していました。
ところが、調査の過程で「不自然な連続入力」――つまり、単一キーの過剰打鍵が多数検出されたのです。
テリー・ウッズ副署長は、
「何か重りを置いて1つのキーを押し続けることで生じた可能性がある」
と説明しましたが、
その実態は“勤務中に別のことをしていた”可能性が高いとみられています。
⚖️在宅勤務の自由と監視のバランス問題
この一件を受けて、グレーター・マンチェスター警察は在宅勤務制度そのものを一時停止。
リモートワークの利便性と、勤務の透明性をどう両立させるかが新たな課題となっています。
リモートワーク時代には、
- キーボードやマウスの動きを自動化する「偽装ソフト」
- 社員のPC操作を監視する「トラッキングシステム」
といった技術が次々に登場。
企業や組織は「効率化」と「信頼」の間で難しいバランスを求められています。
🧩同様の“勤務偽装”は民間企業でも発生
今回のケースは警察組織でしたが、企業での類似事件も多数報告されています。
たとえば、ある銀行ではリモート勤務中にマウスやキーボードの動きを偽装するツールを使っていた12人以上の従業員が解雇されました。
また、Amazonでも社員の作業効率を測るために「マウスカーソルの動きを追跡」する仕組みが導入され、
過剰な監視として議論を呼びました。
👁️🗨️ 「信頼」を守るためのテクノロジーが、逆に「監視社会」化を進めてしまう――
そんな皮肉な現実も浮かび上がっています。
💬まとめ:在宅勤務の「自由」を支えるのは、最終的に“誠実さ”
在宅勤務は本来、柔軟で効率的な働き方を実現する手段です。
しかし、今回の「キージャミング」事件が示すように、信頼を前提とした制度は簡単に崩れることもあります。
警察という「社会の模範」で起きた不正は、リモートワークの管理手法に大きな影響を与えるでしょう。
💡 誠実さと責任感なくして、どんな制度も成り立たない。
テクノロジーが進化しても、人間の倫理が試され続けています。
📚 参考リンク
- The Register: UK cops caught key jamming to avoid remote work
- News.com.au: UK police officer found guilty of gross misconduct after key jamming while WFH
- Metro News: Workshy detective banned from policing over key jamming trick

