💻北朝鮮のIT労働者を支援したアメリカ人女性に懲役8年半、驚きの「ノートPCファーム」の実態とは

💻北朝鮮のIT労働者を支援したアメリカ人女性に懲役8年半、驚きの「ノートPCファーム」の実態とは #news
アメリカで、北朝鮮の出稼ぎ計画を裏で支えた「ノートPCファーム」の運営者に厳しい判決が下されました。米企業にリモートワーカーとして潜り込んだ北朝鮮労働者たちを支援し、約25億円もの収益を不正に生み出した詐欺スキームが明るみに出たのです。

アメリカで、北朝鮮の出稼ぎ計画を裏で支えた「ノートPCファーム」の運営者に厳しい判決が下されました。米企業にリモートワーカーとして潜り込んだ北朝鮮労働者たちを支援し、約25億円もの収益を不正に生み出した詐欺スキームが明るみに出たのです。

🎯300社以上に北朝鮮人労働者を送り込む巧妙な計画

アメリカ司法省の発表によると、アリゾナ州在住のクリスティーナ・マリー・チャップマン被告(50歳)は、米国内外の企業に対して北朝鮮人労働者を「米国在住のIT技術者」と偽って就職させる詐欺計画に関与。これにより、309社以上から1,700万ドル(約25億円)を不正に得たとされています。

その対象には、テレビ局や航空宇宙産業、大手テック企業、高級小売店など、アメリカ経済の中枢を担う企業が含まれていました。

🧑‍💻「ノートPCファーム」でリモートワークを偽装

チャップマン被告が運営していたのは「ノートPCファーム」と呼ばれる設備。これは企業が支給したノートPCを自宅に集約して稼働させ、リモートワーカーがアメリカ国内で勤務しているように見せかける仕組みです。

90台以上のPCが設置されており、それぞれにどの企業からのものかを示すラベルが貼られていたとのこと。一部のPCは海外にも発送され、仮想的な雇用を通じてマネーロンダリングが行われていました。

🛑FBI「国家安全保障への重大な脅威」

FBIの対諜報部によると、このような手口は単なる詐欺を超え、北朝鮮による「核兵器開発資金の調達計画」の一環であるとの見解を示しています。

FBIは「米国市民・企業・金融機関を犠牲にして北朝鮮政権は数百万ドルを得ていた。だが、国内協力者の存在なしには成し得なかった」として、チャップマン被告の責任の重大さを強調しました。

⚖️ 判決と処罰内容の詳細

チャップマン被告は2025年7月、通信詐欺・個人情報窃盗・マネーロンダリングの共謀の罪で有罪判決を受け、懲役102カ月(8年半)を言い渡されました。

また、裁判所から以下の処分も命じられています:

  • 没収金:約4200万円(北朝鮮への送金分)
  • 罰金:約2600万円
  • 保護観察期間:3年間

チャップマン被告と共謀者たちは、フォーチュン500企業を含む309社のアメリカ企業に北朝鮮の労働者を送り込みましたが、その多くは派遣会社やその他の契約機関を通じてだったそうです。影響を受けた企業にはトップ5に入る大手テレビ局、シリコンバレーのテクノロジー企業、航空宇宙メーカー、自動車メーカー、高級小売店、メディア・エンターテインメント企業なども含まれています。なお、北朝鮮の出稼ぎ計画では2つの異なるアメリカ政府機関にリモートワーカーを潜り込ませることも計画していたそうですが、これらの計画は概ね失敗に終わりました。チャップマン被告はアメリカ企業から受け取ったコンピューターを自宅で稼働させる「ノートPCファーム」と呼ばれる設備を運営していました。これは企業が雇ったリモートワーカーがアメリカ国内で働いていると思わせるためのものです。チャップマン被告は49台のノートPCなどのデバイスを海外に出荷しています。なお、チャップマン被告のノートPCファームは以下の通りで、90台以上のノートPCが稼働していたそうです。

🧬被告の生い立ちと動機の背景も明らかに

弁護側によれば、チャップマン被告は幼少期から複雑な家庭環境にあり、父親の不貞・アルコール依存、兄からの暴力、性的虐待など深刻なトラウマを抱えていたとのこと。転校を繰り返し、社会的孤立を深めていたという背景も語られています。

🕵️‍♂️米政府、IT雇用に関する警告を発出

この事件を受け、アメリカ政府はIT分野でのリモートワーカー採用時に北朝鮮労働者が紛れ込むリスクを警告。特に「偽名・偽造身分証を使ったIT技術者の応募」に対しては厳重なチェックを呼びかけています。

関連ガイダンスはこちら:
👉 North Korean IT Worker Threats to U.S. Businesses(IC3)

🌍拡大する北朝鮮のサイバー出稼ぎ作戦

過去にも北朝鮮のIT労働者が米企業やアニメ制作会社に潜り込み、核開発資金を稼いでいたケースが摘発されています。2024年には欧米や日本のアニメ制作会社が、制裁をすり抜けて北朝鮮に制作をアウトソースしていた事実も明らかに。

今後もこのようなサイバー経済活動は続くと見られており、企業側の警戒体制が問われる時代となっています。

まとめ:

この事件は、リモートワークという便利な働き方が国家レベルの脅威となりうることを示した象徴的な事件です。今後も企業や採用担当者は「どこで働いているか」だけでなく、「誰が働いているのか」をより慎重に見極める必要があるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました