NASAは、火星探査車 「パーサヴィアランス」 が採取した鉱物の分析結果から、かつて火星に生命が存在した可能性を強く示す「潜在的生命指標(potential biosignature)」を確認したと発表しました。
この成果をまとめた論文は、2025年9月10日付で科学誌 Nature に掲載されています。
👉 NASA公式発表

🔬 発見の概要
- 調査地点:ジェゼロクレーター西端「ブライトエンジェル」地層
- 見つかったもの:鉄・リン・硫黄を豊富に含む 有機炭素を含んだ泥岩
- 特徴的な構造
- 「ポピーシード(poppy seeds)」:直径1mm未満の粒状構造
- 「ヒョウ柄の斑点(leopard spots)」:数mmの反応面
分析の結果、これらの構造から 第二鉄リン酸塩 と 硫化鉄 が高濃度で検出されました。

🌍 地球との類似点と生命との関係
地球では、多くの微生物がエネルギーを得るために 酸素以外の物質 を利用します。
- 鉄を利用する微生物 → 第二鉄リン酸塩を生成
- 硫酸塩を呼吸する微生物 → 硫化鉄を副産物として生成
今回の発見は、こうした地球の微生物活動と極めてよく似た痕跡である可能性があります。
さらに、鉱物の形状や分布は その場での化学反応 を示唆しており、微生物による代謝活動と一致する点が重要です。

🌡️ 低温環境での生成がカギ
もし非生物的な反応で鉱物が生成されたとすれば、通常は 150〜200℃の高温 を必要とします。
しかし、火星で観測された鉱物には 高温にさらされた痕跡がなかった のです。
つまり、低温環境下で鉱物が形成されたということになり、非生命的プロセスだけでは説明が困難である、とNASAは強調しています。

🧪 科学的信頼度と今後の展望
今回の発見は、生命探査における信頼度指標「CoLDスケール」で レベル4に近い評価 に相当します。
(=「その環境で非生物的に生成された可能性が極めて低い」ことを意味)
ただし、非生物的な要因が完全に排除されたわけではありません。
次のステップとしては…
- 地球での実験
- 火星から採取したコアサンプル(例:サファイアキャニオン)を地球に持ち帰って詳細分析
が予定されており、生命痕跡の確定にはさらなる研究が必要です。
🗣️ 専門家のコメント
- NASA JPLのケイティ・スタック・モーガン氏
「火星での生命の可能性に関する発見には、並外れた証拠が必要です。今回の論文発表は、その厳密性と重要性を保証する重要な一歩です」 - テキサスA&M大学のマイケル・タイス氏
「完全に非生命的な説明を排除するには、地球でのさらなる実験と、将来のサンプル分析が不可欠です」
✨ まとめ
- 火星探査車パーサヴィアランスが 生命活動と一致する鉱物の痕跡 を発見
- 非生物的プロセスでは説明が難しいため、生命存在の可能性が大幅に高まった
- ただし「確定」にはさらなる検証が必要
- 将来的な サンプルリターン計画 が重要なカギ
⏩ もしかすると、私たちは 「火星に生命があった」決定的証拠 をつかむ寸前なのかもしれません 🚀🔭
