2万人超のデータを分析した最新研究

認知症と社会的つながりの関係とは?
認知症は、記憶力だけでなく 言語能力・判断力・推論力 にも影響を及ぼす病気で、性格や行動の変化も伴うことがあります。
世界的に高齢化が進む中で、「どうすれば認知症を予防できるのか」は重要なテーマです。
今回、合計2万人以上の被験者を対象にした17件の研究 をまとめたレビューにより、次のことが明らかになりました。
👉 「広範なソーシャルネットワークを持つ人ほど、認知症の発症リスクが低い」

研究の概要と対象者 🧪
- 対象:2000〜2024年に発表された 17件の研究
- 被験者:合計 20,678人、平均年齢40〜90歳
- 実施国:アメリカ・ドイツ・イギリス・中国・フランス・スウェーデン・アイルランド・アイスランド・インドなど
- 追跡期間:最長15年に及ぶ研究も
その結果、人とのつながりが少ない人ほど認知症リスクが高い という傾向が一貫して確認されました。

ソーシャルネットワークの要素 💬
研究で言う「ソーシャルネットワーク」とは、単なる知り合いの数ではなく、次のような要素を含みます。
- 婚姻状況(配偶者の有無)💍
- 接触する人の数 📞
- 交流の頻度 🗓️
- 関係への満足度 😊
- 他者からのサポートの有無 🫂
これらの要素が豊かであるほど、認知機能の維持にプラスの影響 があると考えられます。
また、4件の縦断研究を対象にした分析では、ベースライン時点におけるソーシャルネットワークが小規模だったりつながりが弱かったりする人ほど、認知機能が低下しやすいことが明らかになりました。良好なソーシャルネットワークを持つ人は、時間が経過してもより健全な脳構造を維持する傾向がありました。これは特に、感情や社会的行動に関わる脳領域である扁桃体において顕著であり、より強固なソーシャルネットワークを持つ人ほど健康な扁桃体が保持されていたとのことです。

脳に現れた効果:扁桃体の健康維持 🧠✨
特に注目すべきは、脳の構造そのものにも違いが現れる という点です。
- ソーシャルネットワークが小さい人 → 認知機能の低下が早い
- ソーシャルネットワークが広い人 → 感情や社会的行動を担う「扁桃体」が健康に保たれやすい
つまり、人との交流は 「心の支え」だけでなく「脳の健康維持」にも直結 している可能性があります。
因果関係の注意点 ⚠️
ただし、この研究は観察研究をまとめたレビューのため、「交流が多いから認知症にならない」と断定はできません。
心理学系メディアのPsyPostは次のように指摘しています。
「良好な社会的ネットワークが認知症を予防する可能性はあるが、逆に 認知能力が高い人ほど交流を維持できるため、その結果が関連性として表れている可能性もある」
つまり「交流が脳を守る」のか「健康な脳だから交流できる」のかは、今後さらに解明が必要です。
日常生活でできる工夫 🏡
現時点で確実な因果関係は断定できないものの、研究結果は日常生活へのヒントを与えてくれます。
- 家族や友人と定期的に会話する ☕
- 地域イベントや趣味の会に参加する 🎶
- オンラインでも積極的に交流する 💻
- 助け合える仲間をつくる 🤝
これらの活動は、脳の健康維持と心の充実感の両方につながる と考えられます。
まとめ ✨
- 広いソーシャルネットワークを持つ人ほど 認知症リスクが低い傾向
- 脳の「扁桃体」が健康に保たれるなど 神経学的な効果 も確認
- ただし、因果関係は未解明で「健康な脳だから交流ができる」可能性もある
- それでも 交流を増やす生活習慣は脳と心にメリットが大きい
認知症予防に「薬」や「運動」が注目されがちですが、「人とのつながり」もまた強力な“脳の栄養” であることが明らかになってきました。🧠🌸