🏃‍♂️ 30分の有酸素運動でADHDの認知能力が向上する可能性

🏃‍♂️ 30分の有酸素運動でADHDの認知能力が向上する可能性 #news
「1日1時間ウォーキングすると平均寿命が6時間延びる可能性がある」や「定期的な運動は二日酔いの重症度を軽減する」などの報告もあり、運動は身体機能の向上だけでなく、脳の認知機能やメンタルヘルスにも大きな影響を及ぼすことが分かっています。

近年、運動が心身に与える効果については多くの研究が進んでいます。
「1日1時間ウォーキングすると平均寿命が6時間延びる可能性がある」や「定期的な運動は二日酔いの重症度を軽減する」などの報告もあり、運動は身体機能の向上だけでなく、脳の認知機能やメンタルヘルスにも大きな影響を及ぼすことが分かっています。

そんな中、国立台湾大学の研究チームが発表した最新研究によれば、わずか30分間の有酸素運動が注意欠如・多動症(ADHD)の人々の認知能力を高める可能性があるとのことです。

🧠 ADHDとは?脳機能と特徴

ADHD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)は、脳の神経発達障害の一種であり、以下のような特徴が見られます。

  • 集中力が長く続かない
  • 落ち着いてじっとしていられない
  • 衝動的な感情や行動を抑えられない

これまでの研究では、ADHDでない健康な人が有酸素運動を行うと脳の高次思考領域(大脳皮質)の興奮性が高まる一方、ADHDの人では神経活動が抑制されやすいことが分かっていました。さらに、ADHDの人は健康な人よりも「皮質内抑制」のレベルが低いことも報告されています。

🧪 実験方法と条件

国立台湾大学の研究チームは、「ADHDの人が有酸素運動を行うと、運動皮質の活動が一時的に抑制されるのではないか」という仮説を立て、実験を実施しました。

  • 対象者:ADHDと診断された人26名(薬物治療なし)+健康な人26名
  • 運動内容:
    1. 5分間のウォームアップ
    2. 20分間のエアロバイク
    3. 5分間のクールダウン
  • 測定項目:
    • 抑制制御能力(自己コントロール)
    • 運動学習能力(筋肉の記憶)
    • 経頭蓋磁気刺激(TMS)による皮質内抑制の測定

📊 実験結果

結果は非常に興味深いものでした。

  1. ADHDの人の場合
    • 有酸素運動後、短期的な皮質内抑制が強化された
    • 抑制制御タスクと運動学習タスクの両方でパフォーマンス向上
  2. 健康な人の場合
    • 有酸素運動後、皮質内抑制が減少
    • 運動学習は向上したが、抑制制御には影響なし

このことから、ADHDの人は健康な人とは異なる脳の生理学的変化が起きることが確認されました。わずか1回の有酸素運動でもADHDの人の認知能力が改善する可能性があるのです。

🩺 なぜ効果が出るのか?

研究者によれば、ADHDの人はもともと抑制性介在ニューロンの働きが弱く、衝動や集中力のコントロールが難しい傾向があります。
有酸素運動はこの抑制機能を一時的に強化するため、課題への集中力や記憶力が向上すると考えられています。

また、運動によって脳内のドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の分泌が活性化され、注意力や学習効率の改善にもつながる可能性があります。


💡 ADHD改善のための運動活用法

今回の研究はまだ小規模で、対象者の年齢も23〜24歳の若者に限定されているため、今後の大規模な研究が必要です。
しかし、日常生活に運動を取り入れることはADHDに限らず多くの人に有益です。

  • 週3回以上の有酸素運動(ジョギング・サイクリング・水泳など)
  • 短時間でもOK(20〜30分)
  • 集中が切れやすい人は「運動直後に勉強や作業を始める」ことで効果UP

🔍 まとめ

30分間の有酸素運動は、ADHDの人々にとって抑制制御力と学習能力の改善につながる可能性が高いことが示されました。
脳の働きが活性化され、集中力や作業効率の向上が期待できるため、日常生活や学業、仕事においてもプラスに働く可能性があります。

健康な人にとっても、運動は脳と体の両方に良い影響をもたらします。
まずは「週数回、20〜30分の有酸素運動」から始め、習慣化することが大切です。

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