欧州委員会(EUの政策執行機関)は2025年9月5日、Googleが広告技術(アドテク)業界で競争をゆがめたとして 29億5000万ユーロ(約5000億円) の制裁金を科すと発表しました。これはEUの独占禁止法違反に対する制裁金としては 史上2番目の高額 となります。

制裁の理由は「自己優遇行為」🚫
欧州委員会は、Googleが自社の広告サービスを優遇することで、競合他社・広告主・パブリッシャー(広告掲載側のサイトやアプリ)に不利益を与えていたと指摘しました。
具体的な違反行為は以下の通りです。
- 📌 DFP(Google Ad Manager) を利用するパブリッシャー広告サーバーで、自社の広告取引所「AdX」を優遇。
- 📌 Google広告・DV360(広告購入ツール)でも、競合ではなく自社AdXに入札を集中させる仕組みを構築。
- 📌 その結果、AdXが業界で最も魅力的な取引所とされ、高額な手数料を徴収可能に。
欧州委員会は「これは競合排除を目的とした不当な自己優遇であり、健全な競争を阻害した」と結論づけました。

EUの命令とGoogleの対応⏳
欧州委員会はGoogleに対して:
- 自己優遇の即時停止
- アドテク業界における 利益相反の解消措置 の実施
を命令しました。Googleには是正策を提出するための 60日の猶予 が与えられています。もし不十分と判断されれば、さらに厳しい救済措置(事業の一部売却など)が取られる可能性があります。
なお、この罰金額は 2006年の罰則ガイドライン に基づき、違反期間(2014〜2025年)や市場支配の重大性を考慮して算出されたものです。

世界各国で続くGoogleへの独禁法調査🌍
今回のEU制裁だけでなく、Googleは世界各国で独占禁止法違反の調査を受けています。
- 🇺🇸 アメリカ:2025年4月、連邦地裁が「オンライン広告技術での独禁法違反」を認定。ただし一部分野では独占状態を否定したため、Googleは「半分勝利」とコメント。
- 🇨🇦 カナダ:同様に反競争的行為を理由に提訴され、広告ツール売却や罰金が求められている。
Googleはグローバルに広告ビジネスを展開しているため、今後も各国の規制当局との対立は続くと見られます。

Googleとアメリカ政府の反応🇺🇸💬
Googleの広報担当者は 「控訴する意向」 を明らかにし、
「広告主とパブリッシャーにサービスを提供することに反競争的な要素はない。むしろ代替手段は増えている」
と反論しています。
さらに、アメリカの ドナルド・トランプ大統領 は自身のSNS Truth Social で次のように投稿。
- 「EUは再び偉大なアメリカ企業に打撃を与えた」
- 「これは不公平であり、米国は容認しない」
- 「必要であれば関税措置を発動し、米企業を守る」
とEUを強く非難しました。

まとめ📝
- EUがGoogleに 約5000億円の制裁金 を科す(独禁法違反)
- 理由は「自社サービスAdXの優遇」などの 競争阻害行為
- Googleには 60日以内に是正策提出 を命令
- Googleは 控訴を予定、米国政府も反発
今回のEUの動きは、アドテク市場における「プラットフォーム支配」への強い警告といえます。今後の是正策次第では、Googleが広告事業の一部売却に追い込まれる可能性もあり、世界的に注目される事案となりそうです。
