はしか(麻しん)は非常に感染力が高く、高熱や発疹、脳炎や肺炎など重篤な合併症を引き起こす可能性のある感染症です。近年、ワクチン接種率が低下していることが危惧されていますが、新たな研究では「接種率がわずか10%低下するだけで、はしかが爆発的に流行する」可能性が示されました。

🌍 はしかはどれほど危険?
はしかは以下の特徴を持ちます:
- 基本再生産数(R0)が12~18:インフルエンザやCOVID-19(1~4)をはるかに超える感染力。
- 脳炎発症リスク:約1000人に1人
- 死亡率:1000人あたり1~3人
- 治癒後に**亜急性硬化性全脳炎(SSPE)**発症の可能性も(約10万人に1人)
これらの理由から、はしか対策には集団免疫の維持(接種率95%以上)が必要です。

📉 世界的に低下するワクチン接種率
2024年、イングランドでは新三種混合ワクチン(MMR)の接種率がわずか**84%**にとどまっており、目標値95%を大きく下回っています。
原因として:
- ワクチン接種の「面倒さ」
- 副作用への不安
- 感染リスクの過小評価
- SNSやメディアでの誤情報拡散(反ワクチン派の影響)
特に、1998年の「MMRワクチンと自閉症関連」の捏造論文(後に著者が医師免許剥奪)が根強い誤解を生んでいます。

📊 新研究のシミュレーション結果が衝撃
スタンフォード大学やベイラー医科大学の研究チームは、アメリカ全州とコロンビア特別区を対象に、今後25年間のワクチン接種率の変動によるはしかの流行シナリオをシミュレーションしました。
結果は以下の通り:
- ✅ 接種率維持の場合:25年間で発症例約85万件
- ❌ 接種率10%低下:発症例約1110万件(爆発的流行)
- ❌ 接種率50%低下:発症例約5120万件(大規模アウトブレイク)
- 🌟 接種率5%上昇:発症例約5800件(ほぼ流行を抑制)
💡 つまり、接種率のわずかな低下で流行が急拡大し、逆にわずかな上昇でも大幅な予防効果が得られるのです。
💬 専門家の警告と提言
グラスゴー大学の感染症専門家アナスタシア・テオドシウ博士は、ワクチン普及国でも接種率低下で再び風土病化するリスクを指摘。「ワクチンはその成功ゆえ、はしかの脅威を忘れさせてしまった」と述べています。
また、ワクチン忌避の背景にはSNSでの誤情報拡散(2021年の調査では反ワクチン情報の大半を12人の発信者が担っていた)や、正確な知識不足が影響しています。

🛡️ はしか対策の鍵は「接種率の維持・向上」
はしかを防ぐには:
✅ 子どもの定期接種を欠かさない
✅ 正確な知識を持ち、誤情報に惑わされない
✅ 接種率を95%以上に維持(これで流行はほぼ防げる)
