私たちの体と心の健康にとって欠かせない「睡眠」。特に思春期の子どもたちにとって、わずか15分長く眠ることが脳機能の向上につながるという、注目すべき研究結果が発表されました。
📚研究は、ケンブリッジ大学の精神科教授バーバラ・サハキアン氏らによって行われ、アメリカの約3200人の子どもたちの客観的な睡眠データが分析対象となりました。

📈研究のポイントまとめ
- 対象者:11~14歳の子ども 約3200人
- データ収集方法:健康トラッカー「Fitbit」による客観的な睡眠データ
- 発見:睡眠が長いグループほど、脳の容積・認知能力が高い
- グループ間の平均睡眠時間差:約15分

⏰思春期に睡眠が乱れやすい理由とは?
思春期(おおよそ11〜18歳)は、ホルモンバランスや生活リズムの変化により睡眠時間が短くなりがち。就寝が遅くなり、早起きしなければならないため、慢性的な睡眠不足に陥っている子どもが少なくありません。
🧠「質の高い睡眠は脳の発達に不可欠」とサハキアン教授
しかしこれまでの研究は、子どもの自己申告に頼った不正確なデータが多かったため、正確な影響は十分に解明されていませんでした。
🧪3200人の子どもを追跡した大規模研究の詳細
サハキアン氏らの研究チームは、アメリカで行われている思春期の脳と認知発達(ABCD)研究のデータを活用。
- 11~12歳の子ども 約3200人にFitbitを装着
- そのうち1190人を13~14歳になってからも追跡調査
このデータから、子どもたちの睡眠パターンを3つの「バイオタイプ」に分類しました。

🧬3タイプに分けられた睡眠パターンとその特徴
バイオタイプ | 割合 | 睡眠時間 | 特徴 |
---|---|---|---|
タイプ1 | 39% | 7時間10分 | 最も遅く寝て最も早く起きる |
タイプ2 | 24% | 7時間21分 | 平均的な睡眠パターン |
タイプ3 | 37% | 7時間25分 | 最も早く寝て、心拍数も安定 |
📊 わずか15分の差が、認知能力に顕著な影響を与えることが判明。
- タイプ3:語彙力・読解力・集中力などが最も優れていた
- タイプ1:すべての項目で最も低いスコア
- タイプ3の子どもは脳の容積も最も大きく、機能も高い

🧠たった15分の違いが脳にここまで影響?
研究チームが強調するのは、「たった15分程度の睡眠延長」で脳の構造や認知機能に差が出るという事実。
🗣「このわずかな差が、子どもたちの将来の学習能力や行動に長期的な影響を与える可能性がある」とサハキアン教授は述べています。
💡親や学校に求められる対応とは?
今回の研究は、次のような提言にもつながっています。
✔ 学校の始業時間を遅らせる
睡眠時間を確保するためには、朝の通学・登校時間の見直しが効果的だという主張があります。
✔ 就寝前のデジタルデトックス
スマートフォンやタブレットの使用は、睡眠の質を低下させる要因のひとつ。ベッドに入る1時間前にはスクリーンを見ないことが理想的です。
📝まとめ:思春期こそ「15分多く眠る」工夫を!
子どもの成長や将来にとって、質の高い睡眠は欠かせません。たった15分早く眠るだけでも、脳機能や認知能力に好影響が期待できます。
💡家庭でできる工夫
- 就寝前のルーティンを整える
- 寝室の照明を暗めに
- デバイスの使用を制限する
🌙思春期の子どもを持つ保護者の方や教育関係者の皆さんは、今夜からの睡眠環境の見直しをぜひご検討ください。