大麻とはまったく違う植物から大麻化合物のCBDが発見され関連製品の生産拡大への期待が高まる

大麻とはまったく違う植物から大麻化合物のCBDが発見され関連製品の生産拡大への期待が高まる #ニュース・社会・コラム
近年、健康食品や化粧品、医療製品の分野で注目を集めている成分のひとつが CBD(カンナビジオール) です。CBDは大麻草に含まれる化合物ですが、向精神作用がないため安全性が高く、さまざまな健康効果が期待されています。

新たなCBD供給源の発見――「トレマ・ミクランサム」に注目集まる

CBDとは?その効果と市場の拡大

近年、健康食品や化粧品、医療製品の分野で注目を集めている成分のひとつが CBD(カンナビジオール) です。CBDは大麻草に含まれる化合物ですが、向精神作用がないため安全性が高く、さまざまな健康効果が期待されています。

これまでの研究で報告された主な効果には次のようなものがあります。

  • てんかんや発作の抑制
  • 精神病や社交不安障害の緩和
  • 皮膚の炎症の軽減

また、CBDは依存性や乱用の危険がないため、日本ではTHC(テトラヒドロカンナビノール)の含有量が規定値以下であれば、合法的に使用が可能です。

市場の需要も急速に拡大しており、調査会社Vantage Market Researchによると、2023年時点でのCBDの世界市場は約50億ドル(約7700億円)と推定され、2028年には 470億ドル(約7兆2900億円)以上 に成長すると見込まれています。

大麻以外からCBDが発見される画期的なニュース

これまでCBDは主に大麻草から抽出されていましたが、2025年、南米ブラジルで 「トレマ・ミクランサム(Trema micranthum)」という植物からCBDが発見 されたことが報告されました。この植物は一般的に 雑草と見なされる植物 ですが、研究チームの分析によって次のような特長が確認されました。

  • CBDを含んでいる
  • THC(テトラヒドロカンナビノール)が含まれていない

THCが含まれていないことから、法規制上のハードルが低く、各国で合法的なCBD製品の供給源となる可能性があると期待されています。

研究の背景と今後の展開

リオデジャネイロ連邦大学の分子生物学者ロドリゴ・ネト氏によると、トレマ・ミクランサムは ブラジル全土に自生しており、非常に手軽に栽培できる植物 です。
そのため、これまでの大麻草由来のCBDに比べ、より シンプルで安価な供給源 になることが期待されています。

研究チームは今後、以下の取り組みを進める予定です。

  • トレマ・ミクランサムから 効率的にCBDを抽出する方法の特定
  • 医療用大麻を使用する患者を対象にした CBD抽出物の有効性確認

医療分野でのCBDの役割

CBDを含む製剤は、アメリカ食品医薬品局(FDA)によって一部承認され始めています。特に次のような難治性の疾患に対して、CBD製剤が治療効果を示しています。

  • レノックス・ガストー症候群
  • ドラベ症候群
  • 結節性硬化症に関連する発作

代表的な製剤である エピディオレックス は、てんかん治療に使用されており、医療分野での研究は今後さらに拡大していくと考えられます。

CBDの新たな時代へ

ネト氏は「トレマ・ミクランサムはCBDを供給する合法的な代替手段です」と語っています。この植物が市場に普及すれば、より多くの人が安全かつ合法的なCBD製品を手軽に利用できる未来が訪れるかもしれません。

市場規模の成長と新たな研究成果により、CBDは健康と医療分野の新たな一翼を担う成分として、今後も注目され続けるでしょう。

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