♻️アメリカで進む「核廃棄物を資源に変える技術」再処理と変換で未来を変える挑戦

現在アメリカには約9万トンの高レベル放射性廃棄物が存在しており、長年にわたり処理が大きな課題とされてきました。しかし近年、これらの核廃棄物を“資源”として再利用するための研究と技術開発が急速に進められています。

トランプ政権時代の政策的後押しや、2025年に決定された連邦支援によって、これまで経済的に困難だった「核燃料の再処理」が現実的な選択肢になろうとしています。

🧪核廃棄物の再処理とは？過去の経緯と現在の動き

核廃棄物の再処理は、実は1940年代のマンハッタン計画で開発された技術です。当時は使用済み燃料からウランやプルトニウムを抽出し、兵器製造に利用していました。しかし、1977年にジミー・カーター大統領がプルトニウムの軍事転用リスクを理由に再処理を停止。

その後、ロナルド・レーガン政権下で再開されるも、技術コストの高さから商業的に不採算で停滞していました。

しかし2020年代に入り、経済性の改善と新技術の出現により、再処理・核変換が再び注目され始めています。

2025年5月、トランプ大統領は一連の大統領令で、エネルギー省に対し「核廃棄物の国内再処理に関する提言」を求め、民間企業との協力機会を積極的に探るよう指示を出しました。

加えて、バイデン政権時代の流れを引き継ぐ形で、2025年1月にはエネルギー高等研究計画局（ARPA-E）が、核廃棄物の量と毒性を減らす核変換技術の開発に**約58億円（4000万ドル）**を交付しています。

このような政策的・経済的支援によって、2030年代〜2050年代にかけて、廃棄物の再処理が持続可能な核燃料サイクルの構築に貢献する可能性が高まっています。

原子力発電で生じる使用済燃料の約95％は再利用可能です。しかし、残る5％は極めて高い放射能を持ち、何万年も保管が必要とされるため、処理が困難な課題とされてきました。

現在の研究では、この「再利用困難な5％」を**物理的・化学的に“変換”**することで、半減期を数十〜数百年に短縮することが目指されています。

核変換技術の先端を走る企業のひとつが、フランスに拠点を置くShineです。

Shineが採用する技術は以下の通りです：

この手法により、放射性廃棄物をわずか数％未満まで削減できると期待されています。Shineは2030年代に初期の変換施設を稼働させる目標を掲げています。

核変換で重要なのが「中性子の供給」です。ARPA-Eはこれに対応するため、以下の研究機関に出資：

加えて、Omega-P R&Dは、コストを抑えた小型粒子加速器を開発中。これにより、実験室レベルで中性子を効率よく生成し、既存の原子炉に隣接して設置可能な変換システムの構築を目指しています。

ShineのCEO、グレッグ・ピーファー氏は次のように述べています：

「技術的には可能ですが、30年での実現には国家レベルの真剣な取り組みと継続的な資金投入が不可欠です」

現在は、政策支援や技術開発の機運が高まっており、**“核廃棄物を再利用できる時代”**が現実のものになろうとしています。

核廃棄物は「終わり」ではなく、「新たなエネルギー資源のはじまり」になるかもしれません。今後の研究と社会的な取り組みに注目が集まります。