音楽を聴いても全く感情が揺さぶられない「音楽性無快感症」とは？

🎵 音楽は人類共通の文化であり、古代から現代まで人々の心を癒し、盛り上げ、時には涙を誘ってきました。
しかし、誰にとっても「音楽＝感動」ではありません。実は人口の5〜10％が 「音楽性無快感症（music anhedonia）」 という、音楽にまったく心を動かされない特性を持っているといわれています。

音楽性無快感症とは？ 🧠

ウェストミンスター大学の神経心理学教授キャサリン・ラブデイ氏によると、音楽性無快感症の人は 音楽に対する感受性が極端に低い ため、

• 好きな曲が思い浮かばない
• 音楽を聴いても何も感じない
• 音楽に興味を持ったことがない

といった特徴がみられます。

研究では「バルセロナ式音楽報酬質問紙」というアンケートを使い、音楽による快感の度合いを数値化。スコアが低い人ほど「音楽に無関心」である傾向が確認されています。

音楽に対する感受性は人によって大きく違う 🎶

2025年の研究によると、実は全体の約25％は 「ハイパーヘドニック（快感過敏）」 に分類され、音楽に過剰な喜びを感じるタイプだと報告されています。
つまり人間は「音楽に強く感動する人」から「まったく響かない人」まで、大きな幅を持っているというわけです。

生理学的な違い ❤️💧

一般的に音楽で感動する人は、聴いている間に 心拍数・発汗量・呼吸数 などが劇的に変化します。
一方、2016年の研究によれば、音楽性無快感症の人にはこうした 身体的な変化がまったく見られない ことが確認されました。

ただし注意すべきは、音楽性無快感症と「失音楽（アミュージア）」は別物だということです。

• 🎼 アミュージア：音程やリズムを認識できない脳障害
• 🎼 音楽性無快感症：音楽を理解できても、快感や感動が生まれない

つまり、音楽性無快感症の人は「音楽を知覚できるが、心が動かない」状態だといえます。

脳の報酬系がカギ 🔑

音楽や絵画などを「いい」と感じる背景には、脳の 報酬系 が働いています。報酬系が活性化するとドーパミンが分泌され、心地よさや感動を生む仕組みです。

2018年の研究では、磁気パルスで脳の経路を人工的に刺激したところ、音楽による快感を高められる ことが示されました。
さらに2025年の最新研究では、音楽性無快感症の人は「音楽認識のネットワーク」と「報酬系」がどちらも正常に動いているにもかかわらず、両者の間で情報伝達がほとんど行われていない ことが明らかになっています。

遺伝の影響や他分野との関連性 🧬

なぜこの情報伝達が遮断されているのかは未解明ですが、2025年の研究では 遺伝的要因 が関与している可能性が示唆されています。

また、この知見は音楽だけでなく、

• 摂食障害
• ギャンブル依存
• 性的嗜好の問題

といった「報酬への反応の異常」に関する研究にも役立つと考えられています。

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「音楽がすべてではない」という視点 🎧

ラブデイ教授は最後にこう語ります。

「音楽は私たちの生活のあらゆる場面にあふれ、商業施設や医療の現場でも感情や行動に影響を与えています。しかし、誰にとっても万能な処方箋ではありません。中には『静寂こそが心地よい』と感じる人もいるのです。」

つまり「音楽で感動できる人」と「そうでない人」がいて当然であり、互いの感覚を尊重することが重要だといえます。

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まとめ ✨

• 👂 音楽性無快感症は、音楽を知覚できても感情が動かない特性
• 📊 人口の5〜10％に存在、逆に25％は「音楽に過敏に快感を覚えるタイプ」
• 🧠 原因は「音楽認識と報酬系をつなぐ情報伝達の欠如」
• 🧬 遺伝要因の可能性もあり、依存症などの研究にも応用できる

🎼 音楽が心を動かすのは当たり前ではない──その事実は、人間の多様性を理解するうえで重要な発見といえるでしょう。