地球の周囲には、役目を終えた人工衛星やロケットの破片などが漂う「スペースデブリ(宇宙ごみ)」が数十万個存在しています。
これらが衝突を繰り返すことでさらにデブリが増えていく現象は「ケスラーシンドローム」と呼ばれ、宇宙利用の最大のリスクの一つとされています。
2025年10月、シドニーで開催された国際宇宙会議(IAC2025)にて、
「地球低軌道(LEO)で最も懸念されるスペースデブリ50個」の最新版リストが公開されました。
日本からは、1996年に打ち上げられたH-IIロケットの残骸が第3位にランクインしています。🚀

🌍 危険なデブリを特定したのは誰? ― LeoLabsとマクナイト氏の分析
この調査を行ったのは、地球低軌道のマッピングとデブリ監視を行う企業 LeoLabs(レオラボス) の
宇宙デブリ専門家 ダレン・マクナイト氏。
マクナイト氏は、他のデブリと衝突するリスクが高い「最も懸念すべきデブリ」を統計的に抽出し、
2021年に**科学誌『Acta Astronautica』**で初めて発表しました。
4年ぶりとなる最新版では、依然としてロシア製デブリが大半を占めていることが確認されています。
📄 参考資料:Identifying the 50 statistically-most-concerning derelict objects in LEO (PDF)

🚀 トップ10のうち6個がロシア(旧ソ連)製デブリ
最新版リストによると、トップ50のうち 34個がソ連・ロシアによる打ち上げ物体でした。
特に危険度上位10位には、以下のようなロケット残骸や旧人工衛星が名を連ねています。
| 順位 | デブリ名 | 打ち上げ年 | 原産国 |
|---|---|---|---|
| 🥇 1位 | SL-16ロケット | 2004年 | ロシア |
| 🥈 2位 | 不明(軍事衛星系) | 1990年代 | ロシア |
| 🥉 3位 | H-IIロケット | 1996年 | 🇯🇵 日本 |
| 5位 | SL-8ロケット | 1985年 | ロシア |
| 6位 | SL-16ロケット | 1988年 | ロシア |
| 7位 | Kosmos 2237 | 1993年 | ロシア |
| 8位 | Kosmos 2334 | 1996年 | ロシア |
| 9位 | SL-16ロケット | 1988年 | ロシア |
日本のH-IIロケットが第3位に入っている点は注目で、
これは1996年の打ち上げ時に軌道上へ残された機体の一部が現在も低軌道を周回しているためです
💥 「この50個を除去すればリスク半減」と専門家
マクナイト氏は、これら50個のデブリを除去できれば、
地球低軌道における衝突リスクは50%減少すると指摘。
さらに、上位10個を除去するだけでもリスクを30%軽減できると述べています。
これは、単なる「数」ではなく、
衝突時に大量の新たな破片を生み出す可能性がある大型デブリが多いため。
つまり、少数でも巨大なデブリの除去が“宇宙の安全”を大きく左右するのです。🌌
🇨🇳 近年の新たな懸念:中国によるロケット残骸の増加
Ars Technicaの報告によると、2024年初頭以降、
地球低軌道に26基のロケット残骸が新たに放棄され、そのうち21基が中国製であることが判明しました。
- 米国:2基
- ロシア:1基
- インド:1基
- イラン:1基
- 中国:21基
欧米諸国では「打ち上げ後、ロケットを安全に再突入させる」ルールが義務化されていますが、
中国ではまだ明確な法的規制がないため、軌道上に放置されるケースが増加しているとのこと。
マクナイト氏は警鐘を鳴らしています👇
「この状態が数年続けば、軌道上に100基以上のロケットが残される可能性があります。
これは非常に望ましくない傾向です。」
📚 宇宙ごみを描いた名作「プラネテス」との共鳴
スペースデブリの危険性を描いた日本の名作漫画「プラネテス」(幸村誠)は、
2006年にアニメ化され、宇宙ごみ問題を一般に広めた作品として知られています。
作品内で描かれた“ケスラーシンドロームによる連鎖衝突”は、
現実の宇宙開発にも深刻な影響を及ぼしかねないシナリオです。
🛰️ 今後の展望:宇宙の未来を守るために
スペースデブリ問題は、国家・企業・研究機関の垣根を越えた国際的な課題です。
現在は、**日本のJAXAや欧州宇宙機関(ESA)**などがデブリ除去技術の実証実験を進めています。
- 🌐 レーザー照射による軌道修正
- 🤖 デブリ回収ロボットの実証
- 🛰️ 再突入可能なロケット設計
こうした取り組みが進めば、未来の宇宙開発はより安全で持続可能なものとなるでしょう。
🧭 まとめ:危険なデブリは「数」より「質」で見る時代へ
| 要点 | 内容 |
|---|---|
| 🌍 公開イベント | 国際宇宙会議2025(シドニー) |
| 🧑🔬 調査者 | LeoLabs社 ダレン・マクナイト氏 |
| 🚀 日本関連 | H-IIロケット残骸が危険度3位 |
| 🛰️ 主な懸念国 | ロシア・中国 |
| 💡 対策効果 | 上位10個除去でリスク30%減 |
宇宙開発が拡大する一方で、**“掃除されない宇宙”**は地球の次なる環境問題になりつつあります。
数十年後、宇宙旅行や衛星通信が安全に行えるかどうかは、
私たちが「いま、何を除去できるか」にかかっているのです。🌏✨
🔗 参考資料
- Removing these 50 objects from orbit would cut danger from space junk in half – Ars Technica
- A6.8-E9.1 The Space Triad – Practical Space Operations Framework | IAF

