☎️イギリスの「赤い電話ボックス」が消えつつある――全国を記録する「K6 Project」とは

☎️イギリスの「赤い電話ボックス」が消えつつある――全国を記録する「K6 Project」とは #news
イギリスの象徴「赤い電話ボックス」を全国で記録するK6 Projectを解説。K1〜K6の歴史、王冠マークの意味、文化財としての保存活動、再利用事例まで詳しく紹介します。

イギリスを舞台にした映画やファンタジー作品では、街角に立つ赤い電話ボックスを見かけることがあります。ロンドンの二階建てバスと並び、この赤い電話ボックスはイギリスを象徴する景観の1つとして世界中で知られています。

しかしスマートフォンの普及によって公衆電話の利用は急速に減少し、現在では多くの電話ボックスが撤去されています。そんな中、イギリス全土に残る歴史的な電話ボックスを記録・保存しようというプロジェクトが「K6 Project」です。

このプロジェクトは単なる写真集ではなく、設置場所、型番、デザイン、王冠マーク、現状までを詳細に記録した巨大な文化アーカイブとして機能しています。

🏛️赤い電話ボックスはどのように誕生したのか?

実は、イギリスの公衆電話ボックスは最初から赤かったわけではありません。

1921年に登場した最初のモデル「K1」は白い本体に赤い扉が付いていました。しかし、デザインへの不満が多く寄せられたことでデザインコンペが開催され、その後、建築家ジャイルズ・ギルバート・スコットによるデザインが採用されます。

これが現在私たちがよく知る「赤い電話ボックス」の原型になりました。

📌代表的な電話ボックスの歴史

  • K1(1921年)
    • 白色本体+赤色扉
  • K2(1926年)
    • 初代赤い電話ボックス
  • K3(1929年)
    • 地方向け低コスト版
  • K6(1935年)
    • 現在最も有名なモデル

特にK6はジョージ5世の即位25周年を記念して製造され、イギリス全土へ大量設置されました。

現在「赤い電話ボックス」と聞いて多くの人が想像する姿は、このK6型です。

🗺️K6 Projectは「電話ボックスのGoogleマップ」

K6 Project最大の特徴は、イギリス全土に存在する電話ボックスを地図データ化している点です。

実際に現地へ訪問した情報やSNSで寄せられた報告をもとに、電話ボックスの現状が日々更新されています。

記録される内容は非常に細かく、単なる位置情報だけではありません。

🔍記録されるデータ例

  • 設置場所
  • 型式(K2、K6など)
  • 撮影写真
  • ドアの種類
  • 保存状態
  • 王冠デザイン
  • 撤去状況
  • 修復履歴

例えばスコットランド最北端のシェトランド諸島に設置された電話ボックスまで記録されています。

デジタル地図と文化保存活動が融合した珍しいプロジェクトと言えるでしょう。

👑王冠マークから製造年代が分かる

K6電話ボックスには屋根部分に王冠の装飾があります。

この王冠は単なる飾りではなく、製造年代や地域背景を読み解く重要な手がかりです。

👑主な王冠デザイン

テューダー王冠

  • 1935年以降に広く使用
  • 初期K6で採用

聖エドワード王冠

  • エリザベス2世即位後に採用

スコットランド王冠

  • 1955年以降のスコットランド仕様
  • 地域的事情を反映

特にスコットランドでは、イングランド王室の象徴使用に反発があり、独自の王冠へ変更されました。

つまり電話ボックスは、単なる通信設備ではなく政治・文化・王室の歴史まで刻んでいる存在なのです。

🌍電話ボックスは「通信設備」から「文化財」へ変化している

興味深いことに、現在イギリスでは撤去されるだけではなく、新しい用途へ再利用される事例も増えています。

♻️再利用されている例

  • ミニ図書館
  • AED設置場所
  • Wi-Fiスポット
  • カフェ
  • 小型店舗
  • 観光スポット
  • デフibrillator設置施設

イギリスの通信会社BTは「Adopt a Kiosk」制度を運営しており、地域団体が低価格で電話ボックスを引き取り、新しい用途で利用できる仕組みも提供しています。

世界的にも「インフラの再利用」として注目される事例になっています。

📝まとめ:赤い電話ボックスは過去の遺物ではなく生きた文化資産

スマートフォン時代に入り、公衆電話は実用性を失いつつあります。しかし赤い電話ボックスは、単なる通信機器ではなく、イギリスの歴史、建築、文化、政治、デザインを象徴する存在へ変化しています。

K6 Projectは、失われつつある風景を単に保存するだけではありません。「街の記憶」そのものをデジタル化して未来へ残す活動と言えます。

今後もイギリス各地で姿を消していく電話ボックスは増えるかもしれません。しかし、その存在はインターネット上で半永久的に記録され続けることになりそうです。

📚参考・出典

  • The K6 Project
  • British Telecom(BT)
  • Historic England
  • Royal Institute of British Architects
  • UK National Archives
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