カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究チームが、緑茶に含まれるカテキンの一種「EGCG(没食子酸エピガロカテキン)」と、ビタミンB3の一種「ニコチンアミド」を組み合わせることで、脳の老廃物を効率的に除去し、アルツハイマー病の予防につながる可能性を示しました。
これはマウスの脳細胞を使った実験段階ですが、人間の認知症対策において新しい道を開く重要な発見とされています。

緑茶の力:カテキン「EGCG」とは? 🍵
EGCGは緑茶に含まれる強力な抗酸化物質で、細胞の酸化ストレスを抑える働きがあります。
特に脳細胞においては、異常なたんぱく質の凝集を防ぐ作用が期待されており、近年アルツハイマー研究で注目を集めています。

ビタミンB3「ニコチンアミド」とは? 🥜🐟🥚
ニコチンアミドは、ナイアシンを豊富に含む食品(魚・ナッツ・豆類・卵など)から生成される栄養素です。
エネルギー代謝を支え、脳細胞が正常に機能するための重要な役割を担っています。
実験で明らかになった効果 🔬
研究チームは培養したマウスの神経細胞を用い、EGCGとニコチンアミドを24時間処理しました。すると以下の効果が観察されました。
- 脳細胞のエネルギー源「GTP」のレベルが若い細胞並みに回復
- エネルギー代謝が改善し、酸化ストレスが軽減
- 老廃物処理システム(オートファジー)が復活し、アミロイドβタンパク質が効率的に除去
アルツハイマー病の進行に深く関わる「脳のごみ掃除機能」がよみがえる可能性があるのです。

なぜ“脳のお掃除”に効くのか? 🧹
- EGCGは抗酸化作用とタンパク質凝集抑制作用を持つ
- ニコチンアミドは細胞のエネルギー産生を補助する
- 両者を併用することで、脳細胞のエネルギー不足を補い、老廃物処理能力を強化できる
つまり「掃除機に電力を供給する」ように、脳が自ら不要なたんぱく質を処理できる環境を整えると考えられています。
論文の共著者であり、カリフォルニア大学アーバイン校の生体医工学教授を務めるグレゴリー・ブリューワー氏は、「加齢に伴って脳の神経細胞のエネルギーレベルは低下し、不要なタンパク質や損傷した成分を除去する能力が低下します。エネルギーレベルの回復が、神経細胞がこの重要な浄化機能を回復させるのに役立つことがわかりました」と述べています。以下の写真は、アミロイドβタンパク質を赤色で示しており、左が未処理の状態、右がEGCGとニコチンアミドで処理した状態です。EGCGとニコチンアミドで処理することにより、アミロイドβタンパク質が除去されていることが確認できます。

研究者のコメント 💬
UCIのブリューワー教授は次のように述べています。
「加齢に伴い神経細胞のエネルギーは低下し、不要なたんぱく質を除去する力が落ちます。今回の研究は、栄養素の組み合わせでエネルギーを回復させ、脳の重要な“浄化機能”を再生できることを示しました。」
まだ課題も残されている ⚠️
- 人間での有効性は未検証(細胞実験レベル)
- 投与法の問題:ニコチンアミドは経口で不活性化されることがあり、効果的な摂取方法を模索中
- サプリの大量摂取は推奨されない:自己判断は危険であり、今後の臨床研究に期待
日常生活でできる工夫 🌱
現時点で確実にできるのは、栄養バランスを意識した生活です。
- 緑茶を日常的に楽しむ(飲みすぎには注意)
- 魚・ナッツ・豆類・卵など、ビタミンB群を多く含む食品をバランスよく摂取
- 睡眠・運動・食事の基本習慣を整える
これらは認知症予防に広く推奨されるライフスタイル習慣でもあります。
まとめ 📝
緑茶のカテキンEGCGとビタミンB3(ニコチンアミド)の組み合わせは、脳のエネルギーを回復させ、老廃物の蓄積を防ぐ可能性が示されました。
アルツハイマー病予防の新しい道を示す重要な成果ですが、まだ基礎研究段階。今後の臨床試験が待たれます。
健康的な生活習慣をベースに、最新研究に注目していきましょう。

