近年、世界中で離婚率が上昇していることは広く知られていますが、「離婚は予測できるかもしれない」という興味深い研究結果が発表されました。イスラエルのヘブライ大学の研究チームは、文化的・個人的な価値観の組み合わせが離婚率と深く関係していることを示し、結婚生活における新たな視点を提示しています。
🌍世界的に見ても離婚は増加傾向に
過去100年の間に世界中で離婚率は大きく上昇しました。これは、結婚の価値観や社会の変化によって影響されてきた結果でもあります。離婚は単なる「人間関係の終わり」ではなく、健康や幸福度、さらには寿命にまで影響することが近年の研究で明らかになってきました。
🔍研究の概要：文化と個人の価値観に注目
今回の研究を主導したのは、ヘブライ大学のサリー・メンサー氏ら。彼らは、55カ国以上・10万人以上のデータを分析し、文化的価値観と個人的価値観がどのように離婚と関係しているのかを調査しました。
🧭文化的価値観とは？個人的価値観とは？
まず本研究で注目されたのが、2種類の価値観の違いです。
- 文化的価値観：社会全体で共有されている信念。例：自由主義、伝統重視、安定志向など
- 個人的価値観：個人が大切にしている信念。例：自立、新しい刺激、快楽、順応性など
たとえば、自由を重視する文化に暮らす人々は離婚に対して肯定的である傾向があり、一方で伝統を重んじる文化では離婚が避けられる傾向があるとされます。
同様に、自立、新しい刺激、快楽を重視する個人的価値観を持っている人ほど離婚しやすく、一方で伝統や社会的調和を重視する人は離婚の可能性が低いことも判明します。この結果からメンサー氏らは「自律の価値観を重視する国や快楽主義の価値観を重視する人たちでは、離婚が正当化されやすく、離婚の可能性が高いことがわかりました。反対に離婚が正当化されにくいのは伝統や順応的価値観を重視する個人でした」と記しています。
📈価値観と離婚の関連性：研究から見えた傾向
研究チームの分析によれば、以下のような傾向が見られました。
- 自由・刺激・快楽を重視する人 → 離婚率が高い
- 伝統・順応性を重視する人 → 離婚率が低い
つまり、「どんな価値観を大事にしているか」「どんな文化の中で生きているか」が、離婚を選ぶかどうかに影響を与えているということが示されたのです。
メンサー氏は次のように述べています。
「自律性を重視する文化においては、個人の価値観が離婚の可能性により強く影響します。つまり、文化と個人の価値観が互いに作用しながら離婚の意思決定に影響していると考えられます」
🧠「価値観の不一致」が離婚の予兆になる？
研究ではさらに、「自己指向」「刺激」「快楽主義」「伝統」など多数の指標を用いて、配偶者同士の価値観の違いがどの程度あるかを分析。それにより、離婚の可能性をある程度予測できるかもしれないという見解が導き出されました。
価値観の一致・不一致は、交際初期では気付きにくい要素ですが、長期的な関係を維持する上では非常に重要です。将来的には、配偶者選びや結婚前カウンセリングの参考指標として活用される可能性もあります。
💡この研究から私たちが学べること
この研究が示唆する最も重要な点は、**離婚を感情や相性だけでなく「構造的に理解できるかもしれない」**ということです。結婚生活がうまくいかない原因の一部は、価値観の不一致という“見えにくいズレ”にあるかもしれません。
特に現代は、自立や快楽、刺激を追求しやすい社会環境の中にあります。それに比例して、離婚に対する心理的ハードルが下がっているのも事実です。
🔚まとめ：離婚は「避けられる未来」になり得る
研究を通して、文化的背景と個人の価値観が離婚に強く影響することが明らかになりました。これは、「離婚は防げないものではなく、価値観の理解と選択で回避できる可能性がある」というポジティブな示唆でもあります。
✅ 将来的にパートナー選びを慎重に行うためにも、
✅ 長期的な関係性を築くためにも、
価値観の相互理解と共有は、これまで以上に重要になる時代だと言えるでしょう。
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