中国の国家安全部が、アメリカ国家安全保障局(NSA)によるサイバー攻撃を受けていたとする重大発表を行いました。
声明によると、標的となったのは中国科学院傘下の研究機関「国家授時中心(National Time Service Center)」で、
約3年にわたりハッキングを受け続けていたとしています。
📄 出典:
- 国家安全机关破获美国国家安全局重大网络攻击案(観察者網)
- 中國國安部:美國利用菲日台為掩護對中發動網攻 | CNA中央社
- China accuses US of cyberattack on national time center | AP News

⏱ 国家授時中心とは?──中国の「時間」を支える戦略的研究機関
国家授時中心(National Time Service Center)は、
中国全土の標準時・原子時計ネットワークを維持・管理する国家研究機関です。
この機関は、
- 国家インフラ(通信・金融・防衛)における時刻同期の基盤を提供
- 人工衛星・GPS・インターネットなどに使われる精密授時データを生成
しており、中国の時間インフラを支える中枢として位置づけられています。
そのため、ここへのハッキングは単なる情報漏えいに留まらず、
国家レベルの混乱や安全保障上の脅威につながる可能性があります。

💥 攻撃の概要:スマートフォン経由で侵入、機密情報を盗難
中国国家安全部の声明によると、NSAは2022年、
「中国国外ブランドのスマートフォン」に存在していたSMS関連の脆弱性を悪用。
- 国家授時中心のスタッフ複数名の携帯端末に侵入
- 端末内の資格情報や内部文書を窃取
といった行為を行ったとしています。
ブランド名は明かされていませんが、
「国外ブランド」と記された点から、西側製スマートフォンが標的になった可能性も指摘されています。

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🧠 盗んだ資格情報を使い、施設ネットワークを長期監視
国家安全部の発表によると、NSAは盗み出した認証情報を用いて、
2023年4月18日から国家授時中心のコンピューターに不正アクセス。
さらに、2023年8月〜2024年6月の間には、
NSAが新開発したサイバー攻撃プラットフォームを配備し、
「42種類の特殊サイバー兵器」を用いて複数システムに高強度攻撃を実施したと述べています。
この攻撃では:
- 高精度の地上授時システムへの「水平侵入」
- 通信ネットワークや研究システムの一時的な機能停止・混乱
などを狙った可能性があるとしています。
🌐 米国側は沈黙、中国は「証拠あり」と主張
アメリカ大使館は本件に関するコメントを拒否。
一方で、中国国家安全部は「NSAの関与を裏付ける証拠がある」と主張していますが、
具体的な技術的証拠は声明内で公表されていません。
声明ではさらに、
「アメリカはフィリピン・日本・台湾を“偽装拠点”として利用し、中国への攻撃を行っている」
と指摘しており、東アジア全域を巻き込むサイバー戦争の拡大を示唆しています。
⚙️ 背景:アメリカNSAと中国の“サイバー冷戦”
この発表は、近年続く米中サイバー諜報戦の一環とみられます。
NSAはこれまでも、各国の通信ネットワーク・サーバー・防衛研究機関への侵入が複数報告されており、
一方の中国も、AIを活用した高度なサイバー攻撃ツールの開発で注目されています。
特に今回の標的である「時刻同期システム」は、
- 軍事通信
- 衛星航法
- 金融取引のタイムスタンプ
など、国家の中枢に関わる領域であるため、戦略的価値が極めて高いターゲットです。
🧩 専門家の見解:「証拠非公開」ゆえに真偽は依然不明
サイバーセキュリティ専門家の多くは、
「国家安全部が技術的証拠を公開していない点から、政治的アピールの側面も否定できない」と分析しています。
ただし、国家レベルのサイバー活動は一般に機密性が極めて高く、
公開されるのは氷山の一角に過ぎないとも指摘されています。
🔒 まとめ:サイバー空間で続く「静かな戦争」
今回の事例は、サイバー空間がもはや外交・軍事・経済を左右する「第5の戦場」であることを改めて示しています。
中国側の主張が事実であれば、時間インフラという極めてセンシティブな領域への侵入が実現されたことになります。
アメリカ側の反応がない中、国際社会は今後の動向を注視しています。
