「赤ちゃんの泣き声を聞くと放っておけない」――そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
フランス・ジャン・モネ大学などの研究チームが発表した新たな研究で、赤ちゃんの泣き声(特に痛みを伴うもの)が、大人の顔の温度を物理的に上昇させることが明らかになりました。
👉 論文(Journal of The Royal Society Interface)
👉 ScienceAlertの解説記事

🔊 泣き声が「聞くに堪えない」理由
赤ちゃんは言葉で意思を伝えられないため、泣き声は生存に直結する重要な信号です。
特に「痛み」を伴う泣き声は独特で、胸郭を収縮させて声帯から高圧の空気を押し出すことで、不協和音や急激な音の揺れを伴います。これを 「非線形音響(NLP: Nonlinear Phenomena)」 と呼びます。
研究者たちはこれまでに、NLPが赤ちゃんの苦痛レベルを正確に反映する信頼できる指標であることを突き止めています。

🧪 実験内容と驚きの結果
研究チームは平均年齢35歳の41人(男性21人、女性20人)を対象に実験を行いました。
- 🎧 条件1:赤ちゃんが軽い不快感を覚えたときの泣き声(例:お風呂)
- 🎧 条件2:ワクチン接種などで痛みを伴う泣き声
被験者がこれらの音を聞く間、顔の温度変化をサーモグラフィーカメラで測定しました。
📈 結果
- 痛みを伴う泣き声(NLPあり) → 顔の温度が大きく上昇
- 不快感による泣き声(NLPなし) → 温度変化は比較的小さい
つまり、大人の体は「痛みを伴う泣き声」に対して 生理的レベルで敏感に反応 することが確認されたのです。
しかもこの反応は 男女共通 に現れました。

🌡️ なぜ顔が熱くなるのか?
顔の温度上昇は 自律神経系の働き によって引き起こされます。
自律神経は無意識のうちに心拍数や呼吸、消化などを制御していますが、感情にも密接に関係しています。
赤ちゃんの痛みを伴う泣き声は、自律神経を通じて大人の「顔を熱くする」生理反応を引き起こし、注意を強く向けさせる仕組みになっていると考えられます。

👩👩👦 親経験との関係は?
今回の被験者は、赤ちゃんを育てた経験がない、あるいはほとんどない人々でした。
そのため、この反応は「親の本能」ではなく、人間全体に共通する生理的な特徴である可能性が高いとされています。
今後の研究では、育児経験がある人が同じテストを受けた場合、反応がどう変わるのかも注目されています。
📝 まとめ
- 赤ちゃんの泣き声(特に痛みを伴うもの)は 大人の顔を熱くする
- これは 自律神経系の反応 によるもので、注意を引きつける生理的仕組み
- 男女差はなく、親経験の有無とも関係なし
- 今後は「子育て経験による違い」も研究対象に
赤ちゃんの泣き声は「ただの音」ではなく、人間の体そのものに直接作用して、周囲の大人を動かす強力なシグナルであることが改めて示されました👶🔥。

