Googleの削除リクエストが100億件突破間近、著作権侵害対策が急拡大
Googleは、著作権侵害コンテンツに対する削除リクエストの急増に対応し、検索エンジンからのコンテンツ排除を進めています。Googleの「透明性レポート」によると、著作権者や団体からのDMCAリクエストが毎年増加を続けており、2024年初頭にはリクエスト数が80億件を超え、このままのペースで進めば100億件に到達する可能性が高いとされています。
削除リクエスト数の急増が示す著作権侵害対策の進展
Googleは、2012年から「透明性レポート」で著作権侵害による検索結果削除を公開しており、著作権者からの要請に応じて、侵害と判断されたドメインやURLを検索結果から削除しています。最近のデータでは、2024年1月中旬にはリクエスト総数が77億件、2月には80億件を突破し、これまでにない速度で削除リクエストが増加しています。以前は10億件増加するのに約2年かかっていましたが、今回はわずか半年で10億件増加しています。このペースで進行すれば、2024年内に総リクエスト数が100億件に到達することも視野に入っています。
リクエスト増加の背景には代理業者の活発な活動が
削除リクエストの急増は、著作権侵害対策を専門に行う代理業者の存在が大きく影響しています。デジタルコンテンツ削除を請け負うLink-Bustersは、2023年9月以降ほぼ毎日1,000万件以上のリクエストを送信しており、これはGoogleの透明性レポートにも反映されています。また、Comesoなど他の対策企業も活発に活動しており、年間で数億件規模のリクエストを提出しています。
さらに、韓国のカカオエンターテインメントもComesoと協力し、半年間で約2億件以上の違法コンテンツを削除したと報告しています。こうした代理業者の活動が、削除リクエストの増加を牽引していると言えるでしょう。
海賊版サイトも巧妙な対抗策を講じる
海賊版サイトの運営者は、ブロックされてもすぐに新しいドメインを取得して運営を続けるため、削除リクエストが増加しても完全に取り締まることは難しいのが現状です。たとえば、世界最大級の海賊版電子書籍サイト「Z-Library」は、国ごとのドメインを複数展開し、ユーザーには固有のドメインを割り当てることでアクセスを可能にしています。この対策により、Z-Library関連のリクエストが増加しているとみられます。
また、同様の海賊版対策サービスであるComesoは、週に平均約120万件、年間4億件以上の削除リクエストを送信しています。韓国でストリーミングサービス「MelOn」やウェブコミックなどを運営するカカオエンターテインメントはComesoと協力して、2023年6月から12月までの半年間で約2億800万件の違法コンテンツを削除したと宣伝するホワイトペーパーを公開しました。
削除リクエストの増加とその影響
2023年8月頃にリクエスト総数が70億件を突破してからは、過去に例を見ないペースで削除リクエストが増加しており、このままのペースが続くと100億件突破も目前です。現在、Googleの検索インデックスに追加されたドメイン総数は約130兆に達しており、その中で削除されたドメインの割合はわずか0.007%以下とされています。これは、膨大なインデックス量に対して著作権侵害コンテンツの排除が追いついていないことも意味しているでしょう。
まとめ:著作権侵害対策の今後と課題
Googleが著作権侵害コンテンツの排除に努める一方で、削除リクエストの急増により、著作権侵害への対策が追いつかない状況が続いています。インターネット上の違法コンテンツの増加に対処するため、代理業者や著作権者による継続的なリクエストの提出が重要である一方、海賊版サイトの巧妙な対策が今後も続くことで、さらに新たな取り組みが必要になるでしょう。
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