過去100年の間に男性は女性の2倍のペースで平均身長と体重が増加していることが明らかに

過去100年の間に男性は女性の2倍のペースで平均身長と体重が増加していることが明らかに #ニュース・社会・コラム

過去100年で男性は女性の2倍のペースで身長と体重が増加していることが判明

過去のデータから見えてきた「男女の体格差」

最新の研究によると、男性の身長と体重は過去100年で女性の約2倍の速度で増加していることがわかりました。この調査はイタリア・ジェノバ大学のデビッド・ジョフレ氏を中心とする研究チームが行ったもので、世界62カ国の約13万5000人分のデータを分析したものです。

ヒトの性的二型(性別による体格差)が拡大している兆候が示されたこの研究は、食生活の改善や医療の進歩などが影響していると考えられています。

男女で異なる成長のペース

研究チームは、各国の人々の発展度合いを示す指標「人間開発指数(HDI)」と平均身長・体重の変化の関係を分析しました。HDIが0.2ポイント上昇するごとに次のような変化が見られたとのことです。

  • 女性の変化
    平均身長は1.68cm増加、平均体重は2.7kg増加
  • 男性の変化
    平均身長は4.03cm増加、平均体重は6.48kg増加

つまり、男性の体格の成長ペースが女性の約2倍に達していたことが明らかになったのです。

イギリスの例

特にイギリスに焦点を当てた分析では、以下のデータが注目されました。

年代男性の平均身長女性の平均身長
1900年170cm159cm
2022年177cm162cm

男性の平均身長が**4.12%増加したのに対し、女性の平均身長は1.89%**の増加にとどまりました。

ジョフレ氏らはWHOのデータベースにアクセスし、1900年までさかのぼる世界62カ国の約13万5000人のデータを分析しました。その結果、おそらく食生活とヘルスケアの改善により、男女ともに身長と体重が増加していることが判明したとのこと。特筆すべきは年代による男女の体格の違いでした。ジョフレ氏らは、長寿、知識、人間らしい生活水準の3つの分野から算出される各国の人間開発の度合いを測る指標「人間開発指数(HDI)」を用い、このHDIを各国の人々の平均身長と体重のデータと結びつけて分析しました。

体格差が広がる理由は?

このような体格差の拡大について、研究者たちは次の理由を考察しています。

  1. 栄養とヘルスケアの改善
     食生活や医療の進歩により、男女ともに体格が向上しましたが、特に男性がその恩恵を受けやすいことが示されています。
  2. 性的選択の影響
     多くの国で、女性が体格の良い男性をパートナーに選ぶ傾向が続いてきたため、体格の大きな男性が遺伝的に優位に立った可能性があります。

環境要因と体格の関係

ジョフレ氏らはさらに「ジニ係数」と身長・体重の関係についても調査しました。ジニ係数が高い(社会的不平等が大きい)ほど、次のような傾向が見られました。

  • 女性:平均身長が0.14cm減少、体重が0.13kg減少
  • 男性:平均身長が0.31cm減少、体重が0.39kg減少

不平等な社会では特に男性の成長が抑制されやすいことが分かります。これについて研究チームは、男性が幼少期の環境の影響を受けやすいことが一因であると指摘しています。

男性の「メンテナンスコスト」が増加している?

体格が大きいほど健康管理に必要なリソース(エネルギーや栄養)が増えることから、男性は女性よりも健康上のリスクにさらされやすいとの考察もあります。ジョフレ氏は次のように述べています。

「男性は発達コストとメンテナンスコストが女性よりも高い」


今後の研究と展望

この研究から見えてきた男女の体格変化は、単なる体型の違いだけでなく、社会や環境の影響を反映した重要なデータです。

今後は、幼少期の生活環境や社会的要因を含む詳細な追跡調査が必要とされており、集団の健康状態や発育条件を評価する指標としても注目されるでしょう。

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