Googleが検索結果に導入した新機能「AIによる概要(AI Overviews)」が、世界中の中小ウェブサイトに深刻な影響を及ぼしていると報じられています。
📉AIの導入でアクセス数が激減!
「AIによる概要」とは、ユーザーが検索した際にページの一番上にAIが要約した情報が表示される仕組みです。これにより、ユーザーがサイトをクリックせずに情報を得られるようになった反面、ウェブサイト運営者のトラフィックが激減しています。
たとえば、DIYや自宅リノベーションに関する情報を発信するサイト「Charleston Crafted」の運営者モーガン・マクブライド氏は、2024年3月以降にGoogleからのアクセスが70%以上も減少したと報告。これまで何度もアルゴリズム変更に対応してきた彼女も、今回は回復が不可能だったと語っています。

📊Bloombergの調査で明らかに
経済メディア「Bloomberg」は、25の独立系ウェブサイト運営者にインタビューを実施。その結果、AIによる要約や同時に行われたアルゴリズムの変更によって、ほとんどのサイトがトラフィックの急落に見舞われていることが明らかになりました。
「Googleと独立系サイトとの長年の“共生関係”が崩壊しつつある」と、Bloombergは指摘しています。
⚠️不正確なAIの回答とリスク
AIによる回答は便利な反面、以下のような重大なリスクも報告されています。
- 存在しない商品を紹介する
- 安全性の低いアドバイスを提供する
- 正確性や信頼性に欠ける内容がある
マクブライド氏は、自身のDIYサイトに関するアドバイスをAIが誤って引用し、危険な内容が表示されたこともあると警告しています。

📉広告収入も激減、運営継続が困難に…
トラフィックの減少に伴い、広告収入にも深刻な影響が出ています。
- 「Charleston Crafted」では、広告収益が1年間で65%減少
- 数万ドル(数百万円)の損失
- 一部の運営者はサイト閉鎖を余儀なくされる事態に
料理、旅行、ファッションなど幅広い分野で同様の傾向が確認されており、Googleの検索結果上にAIが要約を表示することで、**“読まれる”前に“済まされる”**状況が加速しているのです。

🧠Googleの反論:原因は一概には言えない
Google側は、「AI要約の導入が直接の原因ではない」と主張。季節的な需要変化や他のアルゴリズム調整、検索トレンドの変化などが影響している可能性があると述べています。
とはいえ、ウェブ解析会社「Similarweb」の調査では、多くのカテゴリにおいてアクセス数が軒並み減少。特に中小規模のサイトほど大きな打撃を受けていると報告されています。
🧵大手フォーラム・メディアが優遇される現実
Googleはまた、RedditやQuoraなどのフォーラム、そして大手メディアを検索上位に表示するようにアルゴリズムを変更しています。これにより、個人ブログや中小規模の情報サイトの表示機会がさらに減少しているのです。
ウェブメディア「That Fit Friend」の運営者ジェイク・ボリー氏は、以下のように懸念を示しています。
「このままでは小規模な情熱あるクリエイターが排除され、スパムや大手企業だけが残る世界になってしまう」

💬Google本社で謝罪、でも未来は見えず
Googleは2024年10月、トラフィック減少に苦しむ20人のウェブクリエイターを本社に招待し、状況の説明と意見交換を実施。検索部門のチーフサイエンティスト・パンドゥ・ナヤック氏は謝罪しましたが、今後の改善については**「何も保証できない」と回答**したと報じられています。
🧪新たな懸念:レシピブログも表示対象に
さらに、Googleは料理レシピの要約表示テストも開始。これはブログの本文をAIが抜粋し、検索結果にそのまま表示するというもので、導入されれば料理ブログのアクセスは最大50%減少する可能性があると推定されています。
ある料理ブロガーは「Googleが私たちの視聴者との関係を断ち切ろうとしている」と危機感をあらわにしています。

🛡️パブリッシャーたちの反撃は?
中小ウェブサイトを支援するメディア会社「Raptive」は、5700人以上のクリエイターとともにGoogleと交渉を開始。しかし状況は厳しく、2024年10月の会議に出席した20名のうち3人はすでにサイトの閉鎖を決断しています。
旅行ブログ「The Planet D」の運営者であるブースキル氏は、AIの要約に自分たちのブログで使ったカナダのスラングがそのまま引用されていることに驚き、「Googleに裏切られた」と述べています。
🧩まとめ:GoogleのAI概要は便利?それとも破壊的?
- AIによる概要表示で、検索体験は効率化
- 一方で、多くのウェブクリエイターが収益や存在価値を奪われる事態に
- 不正確な情報の拡散や表現の独自性の損失も懸念
今後の動向次第では、ウェブコンテンツのあり方そのものが大きく変わるかもしれません。