ADHDと探検家気質の関連性とは?

ADHDと探検家気質の関連性とは? #ニュース・社会・コラム
ADHDと探検家気質の関連性とは?

ADHDと探検家気質の関連性とは?

注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、現代社会において落ち着きのなさや集中力の欠如といった特性が障害とみなされがちです。しかし、近年の遺伝学研究により、ADHDには「探検を好む」気質が備わっている可能性があることが判明しています。この発見は、ADHDが単なる障害ではなく、特定の状況下で有利に働く特性である可能性を示唆しています。

ADHDと進化的な利点:遊牧民社会での適応

ADHDに関連する特定の遺伝的変異が、人類の進化において有利に働いていた可能性があることを示す研究も登場しています。たとえば2000年代に行われたケニアの遊牧民族「アリアール族」の調査で、ADHDの人に見られる遺伝的変異「DRD4/7R」を多くのメンバーが持っていることが分かりました。この遺伝子は新しい刺激への欲求や集中力の欠如に関連することが多いとされ、ADHDの一因とも考えられていますが、遊牧民の生活においては、食料や水源を見つけるために積極的に探索する行動が有利に働いた可能性があります。

ADHDの人が「探検家」に向いている理由:2024年の最新研究から

2024年に発表されたペンシルバニア大学の研究では、ADHDの人に「探検家」気質がある可能性を探るために、被験者450人に「茂みからベリーを集める」ゲームを行わせました。ルールは、同じ茂みからベリーを取り続けると収穫量が減るため、効率的にベリーを集めるには新しい茂みに移動するか、一カ所で粘るかの判断を迫られるというものです。

その結果、ADHDスコアが高い人たちは新しい茂みに素早く移動する傾向があり、全体のベリー収集量も多いことが判明しました。研究者のデビッド・バラック氏は「ADHDの特性は、一つの場所に留まって集中するタスクには向かないかもしれませんが、新しい情報を素早く収集するような競争的なタスクには向いている可能性がある」と指摘しています。

ADHDの特性を強みに:現代社会での活用の可能性

ADHDの特性が進化的にどのように有利だったかを示す研究が進むことで、ADHDは単なる障害ではなく、新しい環境での情報収集や変化の多い状況下での適応能力を示すものと捉えることができるかもしれません。

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