🧠性的暴行事件で「被害者」と「容疑者」は同じくらい記憶を混同しやすいと判明

🧠性的暴行事件で「被害者」と「容疑者」は同じくらい記憶を混同しやすいと判明 #news
性的暴行事件では、被害者も容疑者も同じように記憶を誤って再構築する傾向があると判明。ダブリン大学の研究により、目撃証言や当事者の記憶がいかに外部情報でゆがめられるかが明らかに。司法現場に求められる「記憶の科学」とは?

性的暴行事件の裁判では、目撃証言や当事者の記憶が重要な証拠として扱われます。
しかし、最新の心理学研究によると、被害者も容疑者も記憶を誤って再構築する傾向がほぼ同じであることが明らかになりました。
つまり、どちらの側も「自分が見た」「自分が体験した」と信じている内容が、
実際には**外部の情報に影響された“誤った記憶”**である可能性があるのです。

⚖️ 記憶は絶対的な証拠ではなく、状況によって容易にゆがめられる。

🔍実験内容:デート体験を再現して「偽の目撃情報」を与える

アイルランド・ダブリン大学のシアラ・グリーン氏らの研究チームは、
被験者に「一人称視点で撮影されたデートの動画」を視聴させ、
あたかも自分がその場にいたような体験をさせる実験を行いました。

動画視聴後、研究者は被験者に「性的暴行が発生した」と告げ、
ランダムに「被害者役」または「容疑者役」を割り当てます。
その上で、**第三者の目撃証言(うち一部は誤情報を含む)**を提示。

たとえば、

  • 「容疑者が被害者に無理に酒を勧めていた」
  • 「被害者は性に奔放だった」
    などの偏った証言を与え、
    それらが被験者の記憶にどう影響するかを調べました。

🎥 「体験した」と思っていても、後からの情報が記憶を書き換える——
これが“記憶の再構築”のメカニズムです。

🧩結果:被害者も容疑者も「誤情報」に等しく影響される

実験の結果、被害者役と容疑者役のどちらも誤情報に同程度影響を受けたことが判明しました。
つまり、「どちらがより記憶を混同しやすいか」という差はほとんど見られず、
両者が同じレベルで誤情報を自分の記憶の一部として取り込んでいたのです。

グリーン氏はこう述べています。

「記憶は“録画された映像”のように保存されるのではなく、
“レゴブロック”を組み立て直すように再構築されています。
そのため、誤った情報が入り込む余地が常にあるのです。」

🧠 記憶とは“真実の再生”ではなく、“再構成された物語”である。

⚖️法廷での証言はどこまで信頼できるのか?

裁判では、被害者や目撃者の証言がしばしば決定的な証拠として扱われます。
しかし、心理学的にはそれらの記憶は外的要因によって容易に汚染されることがわかっています。

実際、グリーン氏によると、
性的暴行事件では「記憶の信頼性」を説明するために専門家証人が呼ばれることがありますが、
多くの場合、それは検察側ではなく弁護側によって召喚されるとのこと。
これは「被害者の証言には誤りがある可能性がある」という主張を裏づけ、
冤罪防止を目的とする一方で、被害者の信頼を損なうリスクもはらんでいます。

⚠️「被害者の記憶は曖昧」とされがちだが、実は容疑者の記憶も同じように曖昧である。

🧠記憶の本質を理解することが、真実への第一歩

この研究は、「記憶は常に正しいとは限らない」という心理学の基本を改めて示しています。
私たちは出来事をそのまま保存するのではなく、
後からの感情・会話・ニュースなどによって**“新しい形の記憶”に再構築してしまう**のです。

したがって、裁判での証言や供述も、
「真実そのもの」というよりも「当事者の再構成された記憶」である可能性が高い。
司法関係者にとっても、記憶の科学を理解することは誤判や冤罪を防ぐための鍵になるでしょう。

🔍 「記憶を疑う」ことは、被害者を疑うことではなく、真実を守るための科学的視点なのです。

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