2025年9月26日、韓国の**国家情報資源管理院(NIRS)**で火災が発生し、
政府が運用していたクラウドストレージシステム「G-Drive」が完全に焼失しました。
この事故により、**約12万5000人の公務員の業務データ(総計858TB)**が消失。
バックアップが存在しなかったため、一部のデータは永久に失われたと発表されています。
💥 国家レベルのクラウドストレージが“単一障害点”だったという衝撃の事実。

🏢火災はNIRS大田センターで発生、22時間にわたり延焼
火災が発生したのは、韓国・大田広域市にあるNIRS本部データセンターの5階サーバールーム。
この施設は韓国政府の電子行政サービス、ICTインフラ、各省庁のシステムを統合的に管理しており、
政府のデジタル基盤の“心臓部”ともいえる存在です。
火災は26日夜に発生し、約22時間後にようやく鎮火。
しかし、G-Driveを含む96の主要情報システムが被害を受け、
業務システム全体の647基が一時停止しました。
🚒 消火活動は続いたものの、サーバー機器の多くは焼失。
再稼働には「数週間から数カ月」が必要と見られています。

💾G-Driveとは?政府職員が義務的に利用するクラウドストレージ
G-Driveは2018年に導入された韓国政府専用のクラウドストレージサービスです。
公務員は個人PCに業務データを保存することが禁じられ、
代わりにG-Drive上にすべての資料を保管するよう義務付けられていました。
職員1人あたり約30GBの容量が割り当てられ、
最大で約75万人の公務員が利用可能でしたが、実際の利用率は約17%(12万5000人)にとどまりました。
そして今回、その保存データ約858TBがバックアップなしの状態で消失したのです。
💡 「セキュリティと集中管理のためのクラウド」が、逆に脆弱性となった皮肉。

📉最も深刻な被害を受けたのは「人事管理部」
火災による被害は省庁ごとに異なりますが、
最も打撃を受けたのは、すべての文書をG-Driveに保存していた人事管理部(MOHR)。
同部では「過去8年間の作業資料がすべて消失」し、業務継続が困難な状況に陥っています。
一方で、利用が限定的だった国務院政策調整室などは比較的被害が軽微。
政府は現在、各省庁で「個人PCやメール、公文書、印刷記録」をもとにデータの再構築を進めています。
😔 人事管理部関係者は「途方に暮れている」とコメント。
G-Drive一本化のリスクが現実化しました。
🗄️部分的な復旧進むも、全面再開は困難
行政安全部によると、火災後の復旧作業は進められており、
647基のシステムのうち105基が復旧済み。
ただし、火災が発生した5階のサーバールームは依然として灰やほこりが残り、
作業員の立ち入りが制限されている状態です。
他階層(2〜4階)のシステムは9月28日に稼働を再開。
10月12日までに清掃と一部稼働再開を完了予定としていますが、
完全な復旧には「年内は難しい」とみる専門家もいます。
🧯被害を受けた郵便システムなどの関連機関も停止中。
中小企業の損害額は**約126億ウォン(約13億円)**に達する見通しです。
🧠オンナラシステムに残る“最後の希望”
行政安全部は、「正式な公文書や報告書はオンナラシステム(政府内ネットワーク)にも保存されている」として、
一部のデータ復旧が可能であると説明。
ただし、個人の業務メモや非公式資料は完全消失しており、再現は不可能と見られます。
国会関係者の間では、資料提出が難航することで
監査や議会審議への影響が懸念されています。
ある局長級官僚は「国会への資料提出に支障が出る可能性がある」と危機感を示しました。
⚠️デジタル政府の中枢がダウンすれば、行政機能も麻痺する。
韓国政府は今後、クラウド運用体制の抜本見直しを迫られています。
🧩まとめ:デジタル国家の“盲点”を突いた災害
韓国は電子政府の先進国として知られ、
行政データの完全クラウド化を世界に先駆けて推進してきました。
しかし今回の火災で明らかになったのは、
バックアップのない集中型インフラの危険性です。
G-Driveの全焼は、単なる事故ではなく、
「クラウド依存社会のリスクを象徴する事件」といえるでしょう。
🔥 データが一瞬で灰になる時代。
“信頼できるクラウド”とは何かが、今問われています。
