お酒に含まれるアルコールは、気分をリラックスさせたり楽しい時間を盛り上げたりする効果があります😊。しかし、飲み過ぎれば肝臓にダメージが蓄積してしまうのは周知の事実。
今回、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが発表した新たな研究によって、慢性的なアルコール摂取が 「腸内細菌による肝臓への攻撃」を助長する悪循環 を生み出していることが明らかになりました【Nature発表】。

アルコールと腸内細菌の危険な関係🦠➡️🩸➡️肝臓
これまでにも「飲酒が腸内環境を乱し、肝臓に炎症を引き起こす」ことは知られていました。しかし、具体的なメカニズムは部分的にしか解明されていませんでした。
今回の研究では、ヒトの肝臓生検とマウスモデルを用いて、アルコールが小腸の働きにどのような影響を与えるのかが詳細に調査されました。
その結果──
- アルコールが小腸で「mAChR4」というタンパク質の産生を阻害
- この結果、GAP(杯細胞関連抗原通過経路) がうまく働かなくなる
- GAPが機能しないと、腸内細菌が「腸外」に漏れ出しやすくなる
- その細菌が肝臓に届き、炎症やダメージを悪化させる
つまり、アルコールは「腸の防御システムを壊し、肝臓に攻撃を呼び込む扉を開けてしまう」のです。

mAChR4が鍵を握る🔑
研究チームはさらに、mAChR4の機能を回復させると、再びGAPが形成され、腸内細菌に対する免疫反応も復活することを確認しました。結果として、肝臓への炎症性ダメージも減少したといいます。
この発見は新たな治療法の可能性を示しています。
- mAChR4を直接活性化する薬剤
- もしくは関連するシグナル経路を標的とする治療
これらによってアルコール関連肝疾患を抑えることができるかもしれません。

脳と依存症との関わり🧠🍺
興味深いことに、mAChR4は腸と肝臓だけでなく「脳」においても重要な役割を果たしている可能性があります。
- アルコール使用障害の患者では、脳内のmAChR4発現が低下していることが知られている
- mAChR4は習慣形成や依存行動に関与している
- 統合失調症の臨床試験で「mAChR4を高める薬」がすでにテストされている
このことから、将来的に アルコール依存症の治療薬 として応用される可能性も期待されています。

健康を守るためにできること💡
もちろん、最も直接的かつ効果的な対策は 「飲酒量を減らすこと」 です🍵。
- 断酒や減酒は、わずか数週間で肝臓の健康状態を改善し、がんや脳卒中リスクを減らすことが可能
- 生活習慣を見直し、腸内環境を守ることが肝臓を守る第一歩
今回の研究成果は、飲酒と腸・肝臓・脳をつなぐ「悪循環」を解明したものであり、未来の治療薬開発にもつながる重要な発見といえます。
まとめ📝
- アルコールは腸内細菌による肝臓攻撃を助長する「悪循環」を生む
- mAChR4の働きが阻害されると腸の防御システム(GAP)が壊れる
- mAChR4を回復させる薬剤が、肝疾患や依存症の治療に役立つ可能性
- 最も効果的な予防策は、やはり「飲み過ぎないこと」
お酒を楽しむのはほどほどに、 腸と肝臓を守る意識を持つことが健康のカギ になりそうです。
