「初対面の人と話すのは気まずい」「見知らぬ人に声をかけるなんて無理!」と思う人は多いはずです。ところが最新の研究によると、たった30分間の会話 が予想以上にポジティブな効果をもたらすことが明らかになりました。
BetterUp Labs(従業員コーチング企業の研究部門)、ペンシルバニア大学ウォートン・スクール、そしてDrivenData.orgの研究チームが行った実験では、「知らない人との30分間の会話」が私たちの気分や社会的つながりに与える影響が検証されています。

なぜ「他人との会話」が避けられがちなのか🤔
社会学者ロバート・パットナムは、人とのつながりを2種類に分けています。
- 👥 ボンディング型ソーシャルキャピタル:自分と似た属性(人種・階級など)の人とのつながり
- 🌉 ブリッジング型ソーシャルキャピタル:異なる背景を持つ人とのつながり
現代社会では前者が強まりすぎ、後者が不足していると言われています。その結果、社会全体で「他者への信頼感」が低下。実際に「ほとんどの人は信頼できる」と答えるアメリカ人の割合は1970年代の47%から、近年では34%にまで落ち込んでいます。
多くの人は「知らない人と話すと気まずいに違いない」と思い込みがちですが、過去の研究では、実際に声をかけてみるとむしろポジティブな体験になることが繰り返し確認されています。

実験の内容🎥
研究チームは、面識のないボランティア約1500人をランダムにペアにし、30分間ビデオ通話で自由に会話 してもらいました。合計で 約1700組 の会話データが収集されました。
参加者は10代から60代以上まで幅広く、人種・学歴・政治思想にも偏りはありません。
- 会話前:ポジティブ感情の平均は 6.1/10点
- 会話直後:ほぼ変わらず 6.2(むしろ悪化したと感じた人も多い)
- 会話13分後:一気に上昇し 6.9
- 会話終了時(30分後):大多数が「気分が良くなった」と回答し 7.4 に到達
つまり、最初はぎこちなくても、時間が経つにつれて 会話が幸福感を高める効果 を持つことが明らかになりました。

年齢差・人種・思想の違いは関係なし🌍
分析の結果、この効果は相手の属性に関わらず共通して見られました。
- 年齢差が10歳未満でも40歳以上でも効果は同様
- 人種が異なる場合も、同じ人種同士と変わらない効果
- 政治的思想が正反対でも、最終的には幸福感が向上
会話の内容も実に多様で、元シェフによる経験談や、コロナ観の違いから介護問題に発展する議論など、時には深いテーマにまで踏み込むケースもありました。

社会的な意味と研究チームの結論🔑
研究者たちは、この実験が示すのは単なる気分改善以上の意味があると強調しています。
- ✅ 個人レベル:幸福感や気分の改善
- ✅ 社会レベル:信頼関係と協力意識の回復
「見知らぬ人と話すという小さな一歩が、分断された社会を繋ぎ直す大きな鍵となる」
研究チームはそう結論づけました。日常の中での短い会話が、社会全体の信頼を取り戻す第一歩になる可能性があるのです。
まとめ📝
- 初対面の人との30分間会話は、最初はぎこちなくても 幸福感を大幅に高める
- 年齢・人種・思想の違いに関係なく、効果は普遍的
- 小さな会話が社会の分断を和らげる可能性あり
「見知らぬ人と話すのは苦手」という方も、勇気を出して一歩踏み出すことで、予想以上にポジティブな体験が得られるかもしれません😊
