世界で初めてビットコインを法定通貨に導入したエルサルバドルが、量子コンピューターによる「量子攻撃」リスクに備え、保有するビットコインを複数のウォレットに分割して管理する方針を明らかにしました。
この動きは国家戦略的な準備金を守るためのセキュリティ強化策であり、ビットコインをめぐる国際的な議論にも大きな影響を与えそうです。

量子攻撃とは?⚡
量子コンピューターが進化すると、既存の公開鍵暗号が危険にさらされる可能性があります。特に「ショアのアルゴリズム」を使えば、ビットコインの取引が確定する前に秘密鍵を解読し、資金を不正に転送することが理論的に可能だと指摘されています。
これに対し、エルサルバドル政府の**国立ビットコイン事務所(ONBTC)**は、保有する資産を「最大500BTCごと」に分けることで、仮に攻撃を受けても被害を最小限に抑える仕組みを導入しました。

ビットコイン分割管理の背景 🏦
- 従来:国家準備金を単一アドレスにまとめて保管
- 新方針:複数のウォレットに分割(最大500BTCずつ)
- 目的:量子攻撃や不正アクセスのリスクを分散
ONBTCは保有状況を**公式サイト「Bitcoin Explorer」**で公開しており、透明性の確保も同時に進めています。
👉 Bitcoin Explorer(公式)

エルサルバドルとビットコインのこれまで 🇸🇻
- 2021年:世界初のビットコイン法定通貨化を実施
- 目的:国際送金手数料の削減(GDPの約20%が送金依存)
- 国内の反応:一部では利用が進んだものの、日常決済には浸透せず
その後、IMFからの融資条件を満たすため、2025年1月に「ビットコインでの取引受け入れ義務」を解除。建前上は依然として法定通貨ですが、実質的には通常通貨としての役割を失っています。

ブケレ政権の狙い 🎯
ナジブ・ブケレ大統領は、国家戦略としてビットコイン導入を強力に推進してきました。今回の分割管理策も、**「国家資産を未来のリスクから守る」**という意識の表れといえます。
量子コンピューターの脅威はまだ理論段階ですが、各国の研究が加速する中で、**「備えあれば憂いなし」**という姿勢を示した形です。
まとめ 🌍
- エルサルバドルは量子攻撃リスクに備え、ビットコイン資産を最大500BTCごとに分割管理
- 公開鍵暗号が破られる可能性を考慮した、世界でも先進的な対応
- IMF融資の影響でビットコインの立場は変わりつつも、国家戦略としての活用は続く
💡 今回の取り組みは、量子コンピューター時代における**「暗号資産の安全性」**を考えるうえで重要な事例となりそうです。
