近年、子どもによるスマートフォンの長時間利用や有害コンテンツへのアクセスが深刻な社会問題として注目されています。
そんな中、イギリスで画期的なスマートフォン「Sage Mobile(セージ・モバイル)」が登場しました。この端末は、TikTokやInstagramはもちろん、ネット検索機能さえ使えないという**“超制限型iPhone”**です。

🚫TikTok・Instagram・検索エンジンが使えないiPhone
「Sage Mobile」は、アメリカの企業 Techless(テックレス) が開発したiPhone 16ベースの子ども向け端末で、特徴はなんといってもその“制限の多さ”にあります。
- TikTok / Instagram / SnapchatなどSNSは一切使えない
- App Storeではなく、独自のセーフアプリストアのみ利用可能
- Google検索などウェブブラウジングも不可
つまり、**完全に“インターネットから切り離されたスマホ体験”**が実現されており、親が心配するようなコンテンツに触れる心配が極めて低くなっています。

💸価格は月額99ポンド(約2万円)とやや高額
Sage Mobileは買い切り端末ではなく、月額99ポンド(約2万円)のサブスクリプション制。
この価格は通常のiPhone 16の2年契約の約2倍に相当し、決して安価ではありません。
この価格設定には疑問の声もあり、英The Guardianは「子どもの安全のための選択肢としては非常に高価」と指摘しています。

📱使えるのは生活に必要なアプリだけ
Sage Mobileでは、以下のような実用性重視のアプリのみが事前にインストールされています:
- Google マップ
- Spotify
- Monzo(オンラインバンク)
- Uber
- カレンダー
- 交通系アプリ(バス・電車など)
つまり、子どもたちが時間を浪費するような娯楽コンテンツはほぼ排除されています。

📉スクリーンタイムを劇的に削減できる可能性も
実際、Techlessがアメリカで展開している同様のスマホでは、子どもたちの平均スクリーンタイムを1日15分〜1時間にまで削減できたとの実績があります。
参考までに、アメリカの子どもの平均スマホ使用時間は1日3時間超と言われており、この数字は注目に値します。
🧠スマホ依存による子どもの心への影響とは?
研究によると、スマートフォンへの依存が強い子どもはそうでない子どもに比べて:
- 不安症を経験する確率が2倍
- うつ症状のリスクが3倍
このようなリスクから、**「子どもにスマホを与えるなら最初から“制限付き”が安心」**という親たちの考えが広がってきているのも事実です。
🗣️開発者の主張「これは“安全ベルト付きのスマホ”だ」
Techlessの創業者 クリス・カスパー氏 は次のように語ります:
「ほとんどのスマートフォンは、シートベルトなしの車のようなもの。
私たちは、最初から安全な設定で子どもたちに使ってほしい。」
つまり、スマホは便利で楽しいが、制限がなければ危険でもあるという考え方がSage Mobileの設計思想の中心にあります。
🧒10代のリアルな声「家族と話す時間は増えたけど…」
イギリスに住む16歳の匿名ライターがSage Mobileを実際に使用したレビューも話題に。
彼女は「SnapchatやInstagramが使えないのはとても退屈」としつつ、以下のような感想を語りました。
良かった点:
- 家族との会話が増えた
- 部屋にこもらず活動的になれた
不満点:
- SNSが使えないため「友人との社会的つながりに疎外感」
- 実際に持ち歩いていると「周囲との違和感を覚える」
特に、「Snapchatがなければ、社会的ネットワークが崩壊するかもしれない」と述べるなど、**若者にとってSNSは“情報の共有ツール”ではなく“社会的インフラ”**になっていることがうかがえます。
⚖️高すぎる?それとも安心代? 親たちのジレンマ
Sage Mobileの登場は、ちょうどイギリスで子どものオンライン安全法が施行されるタイミングに合わせています。
Redditなど大手SNSも年齢確認の義務化を進めるなど、社会全体が子どものネット使用に厳しくなっている今、親たちは以下のような大きな選択を迫られています。
- 安心・安全のために高額な制限付きスマホを与えるべきか?
- それとも既存スマホにペアレンタルコントロールを施すべきか?
✍️まとめ:Sage Mobileは「スマホ教育」の新たなスタート地点か?
「Sage Mobile」は、あらかじめ制限された環境を提供することで、子どもにとって健全なスマホ利用習慣を育てることを目的としています。
月額価格の高さやSNS遮断への是非は議論の余地がありますが、“最初のスマホ体験”として適切な環境を整えたい親にとっては、有力な選択肢となるでしょう。
現代の子どもたちにとってスマホは生活必需品に近い存在です。だからこそ、“使い方の教育”がこれまで以上に重要になってきているのです。