結婚と健康の関係については、これまで「結婚していると長生きする」「心臓病のリスクが下がる」など、プラスのイメージが多く語られてきました。
ところが最新の大規模研究によって、結婚している人のほうが、独身者よりも認知症リスクが高いという驚きの結果が示されました。

📊 調査の概要:18年にわたる追跡調査
この研究は、アメリカのフロリダ州立大学医学部のセリン・カラコセ氏らによって実施され、医学誌『Alzheimer’s & Dementia』に2025年3月に掲載されました。
- 対象者:合計 24,107人
- 年齢層:50~104歳(平均71歳)
- 性別:女性 14,369人 / 男性 9,738人
- 調査期間:最大18.44年間
- 診断された認知症患者:4,853人
参加者は婚姻状況によって以下の4つのグループに分類されました:
婚姻ステータス | 人数 |
---|---|
既婚 | 15,409人 |
未婚(生涯独身) | 1,339人 |
離婚 | 3,360人 |
死別 | 3,939人 |
※内縁関係は「既婚」、別居中の既婚者は「離婚」に分類されました。

🧠 結婚と認知症リスクの関係:意外な傾向が明らかに
研究結果は予想外でした。
- 未婚者は既婚者よりも👉 40%も認知症リスクが低い
- 離婚した人も👉 34%リスクが低い
- 死別した人も👉 27%リスクが低い
さらなる統計補正(学歴・遺伝・うつ病の影響など)を行った結果でも、
- 未婚者は24%
- 離婚者は17%
それぞれ認知症リスクが依然として低いという結果が出ました。
❓ なぜ「結婚」がリスクになるのか?
カラコセ氏は、「これまでの『結婚=健康に良い』という常識に疑問を投げかける発見だ」と語っています。
🧠【仮説1】確認バイアスの影響
結婚していると、配偶者が異変に気付きやすく、早期に病院を受診することが多いため、診断数が多くなりやすいという考え方です。
ただし、この研究ではすべての参加者が毎年定期診察を受けていたため、これは説明として不十分とされました。
😟【仮説2】結婚生活の質の問題
過去の研究では、良質な結婚関係でなければ、むしろ健康にマイナスになることが示されています。
- ストレスの多い夫婦関係
- 配偶者への介護負担
- 独立性の低下
- 社会的つながりの縮小
これらが、認知症リスクを高めている可能性があると指摘されています。
⚠️ 研究の限界と今後の課題
この研究にはいくつかの制限があります:
- 参加者の約80%が白人で、アメリカ全体の人種構成を反映していない
- 経済的要因や孤独感、友人関係など社会的つながりの質は分析されていない
- 「結婚の有無」だけでなく、「結婚生活の満足度」など心理的な要素も未考慮
つまり、「独身であること」そのものがリスクを下げるのではなく、ストレスフルな結婚がリスクを上げる可能性があるのです。
📝 結論:結婚の形も、認知症リスクに関係しているかも
この調査は、これまでの「結婚は健康に良い」という通説を覆すものでした。
💬 「結婚生活を続けることが、必ずしも認知症予防につながるとは限らない。むしろ、独身者の方がリスクが低いケースも多いのです」
— セリン・カラコセ氏
✅ 今後注目すべき点
- 結婚の“質”が健康に与える影響
- パートナーとの関係性や生活満足度が認知症にどう影響するか
- 多様なライフスタイルと健康リスクの関連性
👀 あなたはどう思いますか?
結婚していることが本当に「健康によい」のか、あらためて考えてみるきっかけになりそうです。