猫を飼っている人なら一度は経験があるかもしれません。
ある日突然、玄関や枕元にネズミや鳥の死骸が置かれていた――。
「なぜうちの猫は、わざわざ動物の死体を家に持ってくるの?」
そんな不思議な行動の理由について、科学的な視点から解説します。

🧠猫は“家畜化”されても狩猟本能を失っていない
ニューヨークの獣医師・ステファニー・リフ氏によれば、猫が人間と共に暮らすようになったのは1万年以上前のこと。しかし、驚くべきことに、猫の狩猟本能は今も健在です。
「猫は天性のハンター。たとえ室内で飼われていても、その本能は簡単には消えません」
(リフ氏)

🏡わざわざ“獲物”を家に持ち帰る理由は?
では、なぜ猫は捕まえた小動物を家まで持ち帰るのでしょうか?
実は、この行動には複数の理由・仮説があると、都市生態学者のエマニュエル・ボードリー氏は語ります。
🤱仮説①:「母性本能」からくる行動
野生の猫は、母猫が子猫のために狩りをして、獲物を巣に持ち帰ります。これは単なる食料提供だけではなく、子猫に狩りの方法を教える訓練の意味もあります。
このことから、「飼い猫は飼い主を子猫のように思っているのかもしれない」とボードリー氏は推測しています。
「猫が私たちを『少し頼りない子猫』と思っていて、獲物を“教育用”として持ってきている可能性があります」
(ボードリー氏)
つまりこれは、軽視ではなく愛情の証とも言えるのです。

🛋仮説②:「家=安全な場所」として認識している
リフ氏によると、猫は家を「安全な隠れ家」だと考えており、安心して獲物を食べられる場所として持ち帰っているケースもあるとのこと。
- 捕まえたはいいが興味を失って放置する猫
- 家の中で食べてしまう猫
- 飼い主のベッドの上に置く猫(!)
など、行動パターンは猫によってさまざまです。
😼猫によって狩りの傾向が違う理由は?
すべての猫が獲物を持ち帰るわけではありません。その傾向には以下の3つの要素が関係しているとされます。
🔑要因①:性格
2023年に発表されたボードリー氏らの研究によれば、性格が活発・支配的・攻撃的な猫ほど、狩猟行動が強い傾向にあるとのこと。逆に、内気でおとなしい猫は狩りをあまりしないそうです。
🌿要因②:生活環境
猫の住む場所によっても狩りの頻度は変わります。
- 田舎の猫:行動範囲が広く、獲物も多いため、持ち帰る確率が高い
- 都会の猫:行動範囲が限られ、獲物が少ないため、その傾向は低め
🚪要因③:飼い方(屋内外)
猫が外出できるかどうかでも差があります。外に出られる猫の方が、狩りをしやすく、持ち帰るリスクも高くなります。

🐭見たくないならどうする?猫の狩猟対策
「死骸はもう見たくない!」という飼い主のために、リフ氏は以下のような対策を提案しています。
✅対策1:猫を屋内飼いにする
猫を外に出さなければ、そもそも狩りをするチャンスがありません。
✅対策2:おもちゃで狩猟本能を満たす
羽がついたおもちゃや、追いかけられるような動くおもちゃを使うことで、狩猟本能の代替刺激を与えることができます。
✅対策3:庭に鳥の餌を置かない
猫の興味をひく対象を減らすことも有効です。
🌍猫が自然に与える深刻な影響とは?
猫の狩猟行動は、人間の家庭内だけの問題ではありません。
実は、地球規模の生態系にも大きな影響を与えているのです。
🧪研究データによると…
- 北米では年間約300億匹の野生動物が猫によって殺されている
- 特に島嶼地域では絶滅の危機にある種も多い
猫を屋内飼いにすることで、猫自身の健康と同時に、自然環境を守ることにもつながると専門家たちは述べています。
📝まとめ:猫の死骸持ち帰りは「愛情」と「本能」のミックス
- 猫が死んだ動物を持ち帰るのは、愛情・教育・安心の証
- 性格や環境によって狩猟傾向に違いがある
- 室内飼育とおもちゃの活用で、猫にも自然にも優しい対応ができる
もしこの行動に悩んでいるなら、猫の視点と本能を理解したうえで、環境を見直してみることが大切です🐾