✈️ Amazon Air 7598便が滑走路を飛び出し車両に衝突、5人死亡
2026年9月6日13時53分ごろ、プエルトリコ・サンフアン発のAmazon Air 7598便が、米フロリダ州のマイアミ国際空港(MIA)で着陸中に滑走路30をオーバーランし、空港周辺の車両などに衝突して炎上しました。機体はAmazon Air向けに飛行していたBoeing 767-300型貨物機(N1997A)ですが、実際の運航会社は貨物航空会社の21 Airです。事故では地上にいた5人が死亡し、パイロット2人を含む計5人が負傷しました。乗員2人は生存しています。事故直後にはマイアミ・デイド消防救助局から60以上の部隊が出動し、空港は一時的に航空機の発着を停止。その後、一部滑走路から運航を再開しました。9月19日時点で米国家運輸安全委員会(NTSB)の調査は継続中で、事故原因はまだ確定していません。

事故から約2週間が経過し、発生直後には分からなかった重要な情報も明らかになっています。NTSBはコックピット・ボイス・レコーダー(CVR)とフライト・データ・レコーダー(FDR)の回収に成功し、CVRには2時間以上の音声、FDRには約54時間・400項目以上の飛行データが残されていました。さらにAmazonは9月13日、事故状況の調査を受けて21 Airとの運航を一時停止すると発表しました。事故機はこの日だけでもシンシナティ→マイアミ→サンフアン→マイアミと飛行しており、事故便は3便目でした。Amazonは21 Airとの契約停止による顧客への影響は限定的としています。
⚠️ 「Too fast」――着陸1分42秒前から速度超過を警告
NTSBが9月9日に公表した初期解析は、事故直前の異常な状況をかなり具体的に示しています。着陸約1分42秒前、フラップ20度が指示された際に一方のパイロットが速度超過を警告し、その後も速度について繰り返し発言しましたが、NTSBによれば、それらに対する一貫した口頭応答は確認されませんでした。その後「Sink rate(降下率過大)」警報が複数回鳴り、着陸48秒前からは「Too low terrain(地形に対して高度が低すぎる)」という警報も計5回記録されています。最終着陸フラップ30度が指示されたのは接地推定時刻のわずか約10秒前でした。これらは調査上重要な事実ですが、NTSBはデータを「暫定的」としており、この段階で操縦ミスや機体故障など特定の原因へ結び付けることはできません。
マイアミ・デイド消防救助局のレイ・ジャダラ消防局長によると、今回の墜落事故で少なくとも5人が死亡し、5人が負傷したとのことです。5人の負傷者のうち3人は重傷で、墜落時に機長と副操縦士が一時的に機内に閉じ込められています。

NTSBが公開した事故直前の流れを簡略化すると、次のようになります。
- 着陸1分42秒前:フラップ20度を指示、一方のパイロットが速度超過を警告
- 1分23秒前:自動操縦解除とみられる音
- 1分4秒~57秒前:「Sink rate」警報が複数回作動
- 48秒前~39秒前:「Too low terrain」が計5回作動
- 41秒前:フラップ30度を指示
- 約31秒前:接地したとみられる音
- 15秒前:パイロットがゴーアラウンドを指示
- 10秒前:機体が舗装面から外れたとみられる音
つまり、通常の「着陸→減速→停止」という単純なオーバーランではなく、接地後に一度着陸を中止して再上昇しようとする動きがあったことが、今回の調査で特に注目されるポイントです。

🛬 接地時158ノット、減速途中で再加速――NTSBデータが示した複雑な挙動
FDRの解析では、機体の前脚と右主脚が対地速度158ノット(約293km/h)で接地し、146ノットでブレーキが作動しました。しかし左主脚が接地したのは134ノットまで減速した後でした。その後120ノットでブレーキが解除され、エンジンのスロットルがゴーアラウンドに相当する推力まで上げられています。しかし約4秒後、117ノットの時点でスロットルは再びアイドルへ戻され、ブレーキが再度作動。記録上はスピードブレーキや逆噴射装置(スラストリバーサー)が展開された形跡が確認されていません。機体はそのまま高速で滑走路端を越え、最終的に空港境界付近の車両などへ衝突しました。
このデータからは「高速進入」「接地」「ブレーキ」「ゴーアラウンド試行」「ゴーアラウンド中止」「再びブレーキ」という非常に短時間の操作が確認できます。ただし、なぜこの判断に至ったのか、スピードブレーキや逆噴射が作動しなかった理由、気象条件や機体状態、滑走路上の接地点、乗員間のコミュニケーションがどの程度影響したのかは調査中です。航空事故調査ではCVR・FDRだけでなく、機体残骸、整備履歴、乗員の訓練記録、気象情報、管制記録、会社の運航手順などを組み合わせて原因を特定するため、現時点のデータだけから「原因は速度超過だった」と断定するのは早計です。NTSBの最終報告には通常、長い時間を要します。
📦 事故機は32年前の767、しかし「古いから事故」は成立しない
事故機N1997Aは1994年に製造されたBoeing 767-33AERで、事故時点で約32年が経過していました。当初は旅客機としてベルギーのSobelairへ納入され、その後Vietnam Airlines、Air Europa、Kenya Airwaysなど複数社で運航。2015~2016年ごろに旅客機から貨物機へ改造され、2016年からAmazonの航空物流ネットワークに入り、かつて「Amazon One」と呼ばれた機体でもあります。2025年からは21 Airが運航していました。
ただし、機齢32年という数字だけを事故原因と結び付けることはできません。航空機は暦年齢だけで運航可否が決まるものではなく、飛行時間・離着陸回数、定期点検、構造検査、部品交換などを通じて耐空性が管理されます。旅客機を貨物機へ転用して長期間使用することも航空貨物業界では珍しいことではありません。今回のNTSB初期資料にも、機齢そのものが事故原因だったとの判断はありません。今後は事故機の整備記録やブレーキ、スピードブレーキ、逆噴射装置などの状態についても、操縦・気象・運航管理と併せて調査されることになります。
🔎 まとめ:Amazonは21 Airとの運航を停止、焦点は「なぜ着陸を継続したのか」
今回の事故では5人が死亡、5人が負傷し、Amazonは事故から1週間後に21 Airとの運航を一時停止しました。事故直後の「貨物機が滑走路をオーバーランした」という情報から調査は大きく進み、現在は着陸前から速度超過への警告が繰り返されていたこと、複数の対地警報が鳴っていたこと、158ノットで接地したこと、接地後にゴーアラウンドを試みたこと、記録上スピードブレーキと逆噴射が展開されていなかったことまで判明しています。
それでも、これらは「何が起きたか」を示す初期データであって、「なぜ起きたか」という事故原因そのものではありません。NTSBは今後、乗員の判断、機体システム、整備状況、運航会社の手順や訓練、気象条件などを総合的に分析します。特に、速度に関する警告が出ていた状況でなぜ着陸が継続されたのか、そして接地後のゴーアラウンドがなぜ完遂されなかったのかが重要な調査対象になると考えられます。事故原因を特定する最終報告が出るまでは、個々の乗員や機体、運航会社の責任を断定せず、NTSBが今後公開する検証結果を追う必要があります。
📚 参考・出典
・NTSB「Runway Overrun of 21 Air Flight 7598」
NTSB事故調査ページ
・NTSB「NTSB Issues Investigative Update on B-767 Runway Excursion Accident in Miami」
NTSB 2026年9月9日調査アップデート
・Reuters「Amazon pauses operations with 21 Air after Miami cargo plane crash」
Reutersの2026年9月14日報道
・21 Air「Information about Miami accident involving Flight 7598」
21 Air公式発表
・Flightradar24「21 Air 767 overruns runway on landing in Miami」
Flightradar24による事故機情報
