💧 イギリス政府「古いメールや写真の削除で節水を」──データセンター冷却と水不足の意外な関係

💧 イギリス政府「古いメールや写真の削除で節水を」──データセンター冷却と水不足の意外な関係 #news
2025年8月現在、イングランドでは5つの地域が干ばつ状態に突入し、さらに6つの地域が1976年以来の長期乾燥状態にあります。これは、国家干ばつ対策グループ(National Drought Group)が「全国的に重大な水不足」と表現するほどの深刻な状況です。

深刻化するイングランドの水不足

2025年8月現在、イングランドでは5つの地域が干ばつ状態に突入し、さらに6つの地域が1976年以来の長期乾燥状態にあります。これは、国家干ばつ対策グループ(National Drought Group)が「全国的に重大な水不足」と表現するほどの深刻な状況です。
特に干ばつ地域では、農業・生活用水・工業用水のいずれも供給が逼迫し、積極的な節水が急務となっています。

政府が推奨する「家庭でできる節水方法」

国家干ばつ対策グループは、水道会社への漏水対策要請に加え、一般市民へも以下の節水方法を推奨しました。

  • 🌧 雨水タンク設置:雨水を貯めて庭の水やりに再利用
  • 🚽 トイレ漏れ修理:漏水は1日200〜400リットルの損失
  • 🍽 台所の水を再利用:食器洗いの残り水で植物へ給水
  • 🌱 芝生への水やり自粛:一時的な枯れ色は自然に回復
  • 🪥 歯磨き・髭剃り時の蛇口停止
  • 🚿 シャワー時間の短縮
  • 🗑 古いメール・写真の削除:データセンターの冷却負担を軽減

この中で特に注目を集めたのが、**「古いメールや写真を削除」**という一見意外な節水方法です。

データセンターと水消費の関係

クラウドに保存されたデータは、閲覧や処理のたびにデータセンターのサーバーを稼働させます。このサーバーは大量の熱を発し、その冷却に水が使われます。
オックスフォード大学の調査では、比較的小規模なデータセンターでも年間約2600万リットルの水が消費されると推計されています。

AIの急成長も事態を加速させています。大規模AIモデルのトレーニングは膨大な計算資源を必要とし、データセンター稼働率の上昇=冷却用水の増加につながります。Microsoftの報告では、2021年から2022年の間に世界の水使用量が約34%増加しました。

データセンターはAIのトレーニングにも利用されるため、AIの需要急増に伴いデータセンターの需要も増しています。Microsoftは世界の水の消費量が2021年から2022年にかけて約34%増加したことを報告し、水を使用しない冷却技術や、データセンターを海底に沈める方法などに注目していると伝えられています。

「削除」で本当に節水できるのか?

確かに不要なデータ削除は、長期的にはサーバー稼働を減らし、冷却用水の節約につながる可能性があります。しかし、英国環境庁は「削除によってどれほど水が節約できるか」の具体的データを公表していません。
実際の効果は限定的かもしれませんが、メールや写真の整理はストレージの負担軽減やセキュリティ面でも有効です。


進化する冷却技術と今後の対策

企業側も水使用削減に向けて動き出しています。

  • 水を使わない空冷・液冷技術
  • 🌊 海底データセンターの実証実験
  • 小型原子炉による電力供給検討(Microsoft)

これらの技術革新は、干ばつ時でも安定したITインフラ運用を可能にする一方で、地域社会との資源共有のあり方が問われています。


まとめ

イギリスの節水呼びかけに含まれた「古いメールや写真の削除」という提案は、データセンターと水資源の関係を一般市民に意識させる象徴的なメッセージです。
実際の節水効果は限定的であっても、デジタル活動が環境に影響を与えるという認識を広めるきっかけになるでしょう。
今後は市民の節水努力と企業の技術革新が両輪となり、持続可能な水利用が求められます。

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