WordPress.comを運営するAutomatticが公開した最新の透明性レポートにより、AIを利用した粗悪なDMCA削除通知の急増という深刻な問題が明らかになりました。
削除依頼の数は増え続ける一方で、その多くが不正確・不適切であり、結果として却下されるケースが急増しています。これは単なる運用上の問題にとどまらず、インターネット全体の表現の自由や著作権制度の信頼性を揺るがす問題へと発展しつつあります⚠️
📊 2025年後半のデータ:DMCA削除通知は増加、しかし86%が却下
Automatticのレポートによると、2025年7月〜12月の期間における状況は以下の通りです。
- 削除通知数:2431件(前年同期比 +20%)
- 実際に削除された割合:14%
- 却下率:86%
さらに、2014年以降の累計でも以下の傾向が見られます。
- 総通知数:約12万件
- 実際の削除率:約27%
つまり近年は、「とりあえず送る」質の低い通知が増え、審査コストだけが増大している状態です。

。
🤖 AIによる「DMCAスパム」の実態
Automatticが問題視しているのは、AIを使った以下のような手法です。
■ AIによる自動生成・大量送信
- コンテンツの中身を精査せず、類似パターンで大量生成
- URLを機械的に収集して一括送信
- 誤検出(非侵害コンテンツへの通報)が多発
■ コスト削減を優先したビジネスモデル
- 「件数ベース課金」による乱発
- 精度よりも量を重視
この結果、**正当な権利保護ツールであるDMCAが“ノイズ化”**しているのです。

🏢 問題の中心:EnforcityとOnlyFans保護ビジネス
特に問題視されたのが「Enforcity」という企業です。
- 2025年後半の通知数:838件(圧倒的1位)
- 主な対象:OnlyFansクリエイター
- 特徴:月額制のコンテンツ保護サービス
しかしAutomatticによると、
「報告されたリンクのどれも著作権侵害と関連していなかった」
というケースが多発。
結果として、人力による精査コストが爆発的に増加しました。

⚖️ DMCA制度の構造的な問題とは?
ここで重要なのが、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)の仕組みです。
■ DMCAの基本フロー
- 権利者が削除通知を送信
- プラットフォームがコンテンツを削除
- 投稿者は異議申し立て(カウンターノーティス)が可能
この制度は迅速な対応を可能にする一方で、
👉 「誤った通知でも一時的に削除される」
👉 「悪用されやすい」
という欠点を抱えています。

🌍 世界的に拡大する「DMCA悪用」問題
この問題はWordPressに限りません。
- 年間数十億件規模の削除リクエスト
- 自動化された通知の割合が増加
■ GitHub
- 年間2万件以上の削除通知
- OSSプロジェクトが誤って削除されるケースも
■ 欧州(EU)
- デジタルサービス法(DSA)により透明性強化
- プラットフォームに説明責任が課される
👉 つまり、AIによる権利主張の乱発はグローバルな課題です。
⚠️ 表現の自由へのリスク
Automatticの責任者は次のように警告しています。
- AIにより削除通知が爆発的に増加
- 正当なコンテンツが誤って削除される可能性
- 投稿者が萎縮して発信を控える
これはいわゆる「チリング効果(萎縮効果)」です。
👉 「削除されるかもしれない」という恐怖が創作活動を抑制する
という深刻な問題を引き起こします。
🔧 今後求められる対策
この問題に対しては、以下のような対策が議論されています。
■ プラットフォーム側
- AI検出によるスパム通知のフィルタリング
- 信頼性スコアの導入
- 悪質送信者のブロック
■ 法制度の改善
- 虚偽通知への罰則強化
- 自動生成通知の規制
- 審査プロセスの透明化
■ クリエイター側
- 正当なカウンターノーティスの活用
- 著作権証明の整備
✍️ まとめ:AI時代の著作権は「量」ではなく「質」が問われる
AIの進化により、著作権保護の仕組みは大きな転換点を迎えています。
- DMCA通知は増加しているが、質は低下
- AIによる乱発が制度の信頼性を揺るがす
- 表現の自由にも影響を与える可能性
👉 今後は「どれだけ送るか」ではなく、
👉 **「どれだけ正確に主張できるか」**が重要になります。
プラットフォーム・法制度・クリエイターの三者がバランスを取りながら、健全なデジタル環境を維持できるかが問われています。
