2001年に発売されたWindows XPは、当時としては画期的な「ライセンス認証システム(WPA)」を導入した初のOSでした。
その一方で、ある**“1つのキー”**がインターネット上で爆発的に拡散し、
世界中で海賊版Windowsが出回るきっかけとなりました。
そのキーこそ――
「FCKGW-RHQQ2-YXRKT-8TG6W-2B7Q8」
この“伝説のキー”の正体について、Microsoftの元開発者デイブ・W・プラマー氏が、
「これはハッキングではなく“社内リーク”だった」と明かしました。

🔑 ライセンス認証システム「WPA」とは?
Windows XPの発売当時、Microsoftは海賊版対策として**「Windows Product Activation(WPA)」**を導入。
CPUやRAMなどのハードウェア情報から固有IDを生成し、ライセンスキーと照合して
Microsoftのサーバーに認証を求める仕組みでした。
- 🔒 不正なキーの場合 → 認証失敗・試用期間30日で制限
- ✅ 正規キーの場合 → 永続利用が可能
この新システムにより、1台ごとに認証が必要な世界がスタートしました。

🧩 伝説の「FCKGW」キーの正体は“特別なホワイトリストキー”
プラマー氏によると、「FCKGW」キーは不正生成されたものではなく、
**Microsoft内部で正式に登録された“ボリュームライセンスキー(VLK)”**だったとのこと。
ボリュームライセンスキーとは、企業向けに大量導入を想定した特別なライセンスで、
認証を省略してインストールできる“ホワイトリスト”扱いのキー。
つまりこのキーは、企業ユーザー向けの正規キーだったのです。

💥 問題は「ハッキング」ではなく「リーク」
プラマー氏はこう説明しています。
「このキーは“突破された”のではなく、“漏えいした”。
つまり、最初の“ハック”は外部ではなく内部だったんだ。」
実際、Windows XP発売の5週間前、
「devils0wn」と呼ばれるWarez(海賊ソフト共有)グループが
このキーと企業向けのインストール用データをインターネット上に流出させました。
これが後に、世界中に広まる「FCKGW事件」の始まりとなったのです。
🕹️ 当時のネット事情と広がり方
2001年当時、一般家庭の多くは低速回線(ダイヤルアップ)を使用していました。
Windows XPのインストールデータ(約455MB)をダウンロードするには、
理論上24時間以上かかる時代です。
そのため、最初は一部のパソコンマニアの間でのみ共有され、
現在のように一瞬で拡散する状況ではありませんでした。
また、前世代のWindows Meが不評だったことや、
XPの動作に高性能PCが必要だったこともあり、
一般ユーザーへの普及は時間を要しました。
🧠 Microsoftは後に対策を実施
Microsoftは「FCKGW」キーをすぐにブラックリスト化し、
後のアップデート(Service Pack 2)でボリュームライセンスキー制度を廃止。
これにより、企業向けも含めすべてのWindowsがより厳格なライセンス管理下に置かれました。
プラマー氏は、後年のインタビューでこう振り返っています。
「WPAは完全ではなかったが、
それまでほぼ野放しだったWindowsの海賊版問題を大幅に抑えた。」
🧩 “FCKGW”が象徴する時代――コピー文化からクラウド認証へ
この事件は、
「ソフトウェアの価値とコピーの自由」を巡る象徴的な出来事でした。
当時のWindows XPユーザーの多くがこのキーを知っており、
インターネット黎明期における“自由と管理の境界線”を示した存在とも言えます。
現在では、Microsoft 365やWindows 11など、
オンラインアカウントでの認証・ライセンス紐づけが主流となり、
物理キー入力の時代はほぼ終焉を迎えています。
📚 参考リンク
- Tom’s Hardware – Legendary Microsoft developer reveals the true story
- デイブ・W・プラマー氏の公式ポスト(X / Twitter)

