2025年9月25日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が、
中国発の人気ショート動画アプリ「TikTok」のアメリカ事業を新設合弁会社へ移譲する契約に署名する予定であることが明らかになりました。
これにより、TikTokの運営元であるByteDanceのアメリカ事業への持分は20%未満となり、
長年続いた「TikTok禁止法」問題が、ついに合意へと動き出しています。

📱 背景:「TikTok禁止法」とは?
TikTokをめぐる問題の発端は、中国企業による個人情報流出の懸念です。
アメリカ政府は2024年、当時のバイデン政権下で
「外国の敵対者が管理するアプリケーションからアメリカ人を守る法(PAFACA)」を可決。
TikTokに対して次の2つを求めました。
1️⃣ アメリカ国内での事業停止
2️⃣ もしくはアメリカ企業への事業売却
法の成立後も執行は延期が続きましたが、2025年9月、ようやく「新しい枠組み」での合意が発表されました。

🏛️ 新合弁会社の概要:取締役7人中6人がアメリカ人に
ホワイトハウス報道官のキャロライン・レビット氏によると、
今回の合意ではTikTokのアメリカ事業が新設の合弁会社によって運営され、
その取締役7人中6人がアメリカ人になることが承認されました。
さらに、TikTokの中核技術である**「動画フィード推奨アルゴリズム」**(レコメンドエンジン)についても、
アメリカ側での制御権限が与えられる見通しです。
レビット氏は次のように述べています。
「すべての詳細はすでに合意に達しており、
あとは署名を残すのみです。近日中にトランプ大統領による署名が行われる予定です。」

💼 ByteDanceの持分は20%未満に Oracleがデータ管理を担当
合意が実行されると、TikTokのアメリカ事業は新会社によって独立運営され、
ByteDanceが保有する株式は20%未満に制限されます。
また、アメリカ政府が最も懸念していた「個人情報が中国に渡る問題」については、
Oracle(オラクル)がTikTokの米国ユーザーデータの保存・管理を全面的に担当することで解決を図ります。
ホワイトハウス高官は次のようにコメントしました。
「OracleはTikTokのセキュリティと安全性を担保し、
外国からの不当な干渉を防ぐために、
推奨アルゴリズムを再訓練し、継続的に監視します。」
🧑💼 トランプ大統領「愛国的なビジネスリーダーが支える取引」
トランプ大統領はこの合意に深く関与しており、
取引にはOracle共同創業者ラリー・エリソン氏、
Dell Technologies CEOマイケル・デル氏、
そしてメディア王ルパート・マードック氏らが関係していると述べました。
「この取引に関わった人々は素晴らしいアメリカの愛国者だ。
彼らはきっと素晴らしい仕事をしてくれるだろう。」
この発言からも、TikTok合弁会社が**民間主導の「アメリカ再構築プロジェクト」**の一環として位置づけられていることが伺えます。
🕵️♂️ アメリカ投資家に6席の取締役会ポストを確保
新しい合弁会社には、アメリカの投資家向けに6席の取締役ポストが確保される予定です。
ただし、誰がそのメンバーになるかは現時点では公表されていません。
この取締役会は、TikTokの運営を監視し、アルゴリズムやデータ運用の透明性を保つ役割を担うとされています。
ホワイトハウス関係者は「この合意は、国家安全保障とユーザーの自由を両立させる新しい形だ」と強調しています。
🇨🇳 なぜここまで問題になったのか?──「中国との情報戦争」
TikTok問題は、単なるアプリ規制ではなく、米中間のデータ主権をめぐる情報戦争の一部として位置づけられています。
アメリカ側は、中国政府がByteDanceを通じてアメリカ国民のデータを収集しているのではないかという懸念を持っていました。
これまでの経緯では、
- アメリカ最高裁が「TikTok禁止法」を支持
- 連邦控訴裁判所が2025年1月までのサービス停止命令を維持
- TikTokが法的措置で応戦
といった、全面的な対立構図が続いていました。
しかし今回の合意により、TikTokが**「完全撤退」ではなく「制限付き存続」**の形でアメリカ市場に残る道が開かれました。
💬 まとめ:TikTokは「アメリカ企業」になるのか?
今回の合意により、TikTokのアメリカ事業は名実ともにアメリカ主導の体制に近づきます。
ただし、ByteDanceが完全に関与を断つわけではなく、20%未満とはいえ影響力を保持します。
💡 専門家の見解では、
「アプリ自体は存続するが、政治的にもビジネス的にも“別物のTikTok”になる可能性が高い」と指摘されています。
アメリカ政府の国家安全保障と、TikTokが掲げるグローバルな表現の自由。
この両立は今後も世界的に議論の焦点となりそうです。

