🫀 心臓がんはなぜ珍しいのか?心臓専門家が徹底解説

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国立がん研究センターによると、2023年時点でがん(悪性腫瘍)による死亡は全死因の約25%を占め、日本人の最大の死因となっています。 肺がん・大腸がん・すい臓がん・胃がん・乳がん・肝臓がんが上位を占める中、心臓がんは統計的に極めてまれです。

がん全体の中で心臓がんは極めてまれ

国立がん研究センターによると、2023年時点でがん(悪性腫瘍)による死亡は全死因の約25%を占め、日本人の最大の死因となっています。
肺がん・大腸がん・すい臓がん・胃がん・乳がん・肝臓がんが上位を占める中、心臓がんは統計的に極めてまれです。

📊 発症頻度の比較

  • 心臓がん:1万人に約3人
  • 乳がん(女性):20人に1人が罹患

この大きな差の理由について、米ピッツバーグ大学で心血管系を専門とする生物学者ジュリー・フィリッピ氏が解説しています。

なぜ心臓がんは少ないのか?

1. 心臓細胞の分裂回数が少ない

がんは細胞の制御不能な増殖によって発症します。細胞分裂の際、DNAのコピーにエラーが起こることでがん化のリスクが高まりますが、心臓の細胞は成人後ほとんど分裂しません。

  • 心臓は胎児期に最初に形成され、誕生後すぐ働き始める
  • 20歳を過ぎると細胞分裂の頻度は大幅に低下
  • 一生のうちに置き換わる心筋細胞は半分以下

DNA複製の回数が少ない=突然変異のリスクも低い

2. 物理的に守られた位置にある

心臓は胸郭の中央にあり、肋骨や周囲の組織に守られています。

  • 紫外線(皮膚がんの原因)や、肺が吸い込む有害物質の影響を受けにくい
  • 発がん性物質との直接接触が少ない

この環境的な保護も、心臓がんの発生率を低くする理由の一つです。

3. 長所と短所

この「細胞分裂が少ない」という性質は、がん予防には有利ですが、以下の欠点もあります。

  • 損傷や老化で失われた心筋細胞を修復する力が弱い
  • 心筋梗塞や心不全などの回復が難しい

つまり、がんになりにくい一方で再生能力が低い臓器なのです。

心臓がんが発生するケース

1. 原発性心臓がん

心臓そのものから発生する腫瘍は非常にまれ。
発症した場合は進行が早く、重症化しやすい傾向があります。

2. 転移性心臓がん

多くの場合は他の臓器で発生したがん細胞が血流に乗って心臓に到達します。

  • 胸部のがん(肺がんなど)
  • 皮膚の悪性黒色腫(メラノーマ)

これらは心臓に転移しやすいですが、それでも頻度は低いとされています。

研究と将来の治療への期待

フィリッピ氏は、**「がんが起こらない理由を理解することは、起こる理由を理解するのと同じくらい重要」**と述べています。

  • 心臓細胞の分裂メカニズム解明は、新しいがん治療法にも応用可能
  • 血液細胞を心臓細胞に変える再生医療技術が開発中
  • 将来は心筋の再生治療や、がん予防に繋がる可能性も

まとめ|心臓がんの稀少性は生命の戦略?

心臓がんが珍しい理由は、細胞分裂が少ない・環境的に守られているという生物学的特徴によるものです。
これはがん予防に有利である一方、修復能力の低さという代償も伴います。

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