🍄キノコの食物繊維「βグルカン」がインフルエンザによる死亡率を下げる可能性、最新研究で判明

🍄キノコの食物繊維「βグルカン」がインフルエンザによる死亡率を下げる可能性、最新研究で判明 #news
健康食としておなじみの「キノコ」が、実はインフルエンザによる死亡リスクを軽減する効果を持つ可能性があることが、カナダ・マギル大学の研究で明らかになりました。

健康食としておなじみの「キノコ」が、実はインフルエンザによる死亡リスクを軽減する効果を持つ可能性があることが、カナダ・マギル大学の研究で明らかになりました。
その主役となるのが、キノコに含まれる**βグルカン(ベータグルカン)**という水溶性食物繊維です。

今回の研究結果は、肺の炎症を抑える免疫調整作用により、インフルエンザ感染後の生存率を高める可能性を示しており、今後の予防医療やサプリメント開発にとっても重要な知見といえます。

🧬βグルカンとは?キノコや穀物に含まれる食物繊維

βグルカンは、キノコ類(シイタケ、マイタケ、エノキなど)や大麦、オート麦などに多く含まれる水溶性食物繊維の一種です。
真菌類の細胞壁の構成成分であり、免疫機能の調節や抗酸化作用、コレステロール低下作用があることでも知られています。

βグルカンには様々な種類があり、食品によって分子構造や生理作用に違いがあります。
今回の研究では、キノコ由来のβグルカンに着目して、インフルエンザ感染後の影響を実験的に検証しました。

また、以下のグラフはインフルエンザウイルス感染後の死亡率を示したもので、縦軸が死亡率、横軸が感染後の日数を示しています。青い線で示されたβグルカンを投与されたマウスは、黒い点線で示された対照群のマウスと比較して死亡率が低いことが確認できます。

以下の図はマウスの肺組織を感染前(左)と感染6日後(右)で比較したもので、対照群のマウス(上)は感染後に組織が激しく損傷した一方、βグルカンを投与されたマウス(下)は損傷が少ないことが示されています。

🧪マウス実験で判明した“肺の損傷軽減”と“死亡率の低下”

研究チームはマウスを使い、以下のような比較実験を実施しました:

  1. βグルカンを投与したグループ
  2. βグルカンを与えなかった対照グループ

その後、両グループにインフルエンザウイルス(A型)を感染させて経過を観察したところ、以下のような結果が得られました。

  • βグルカンを摂取したマウスは、肺の損傷が明らかに軽度
  • 体重減少が少なく、全体的に健康状態が良好
  • 死亡率が有意に低下し、生存日数が延長

特に肺の組織画像では、βグルカン群のマウスが炎症によるダメージをほとんど受けていないことが明確に確認されています。

🛡️なぜβグルカンがインフルエンザの重症化を防げるのか?

研究チームが着目したのは、免疫細胞「好中球」の働き方の変化です。

通常、インフルエンザウイルスに感染すると、体内の好中球が大量に動員され、ウイルスを排除する過程で肺に激しい炎症を引き起こすことがあります。
この免疫の過剰反応こそが、重症化や死亡の大きな要因とされています。

ところがβグルカンを摂取したマウスでは、好中球が再プログラムされ、過度な炎症を起こさずにウイルスと戦うモードに切り替わっていたことがわかりました。

🔬「βグルカンは好中球の炎症性反応を抑え、防御と寛容のバランスを取るように免疫を再設計する」
── 研究チーム共同筆頭著者 キム・トラン氏(マギル大学)

このように、βグルカンはウイルス自体を直接攻撃するわけではなく、免疫暴走を防ぐ“ブレーキ役”として働いていると考えられています。

⚠️注意:人間への効果はこれからの研究が必要

今回の研究成果は、あくまでマウスを用いた動物実験によるものです。

そのため、人間にも同様の効果があるかは現時点では未確定です。
今後の臨床研究によって、食事やサプリメントでの応用可能性が広がることが期待されています。

🧫「真菌(キノコ類)のβグルカンが、体内の微生物叢にどのように作用し、感染症への抵抗力に影響を及ぼしているのか。
今後さらに深い研究が必要です」
── マジアー・ディバンガヒ教授(免疫学者・マギル大学)

🍽️キノコを食べて“免疫の底力”を育てよう

インフルエンザはワクチンや抗ウイルス薬だけでなく、日常の食生活による免疫力強化もカギになります。
βグルカンが多く含まれる食品は、以下の通りです:

  • 🍄 シイタケ、エノキ、マイタケなどのキノコ類
  • 🌾 オートミールや押し麦などの穀物
  • 🥣 一部の健康食品やサプリメント

とくに、加熱調理でもβグルカンは失われにくいとされており、日常のスープや炒め物にも気軽に取り入れることが可能です。


✅まとめ:βグルカンは“炎症を抑える免疫サポーター”

  • キノコに含まれるβグルカンは、好中球の働きを調整し、インフルエンザによる過剰な肺炎を予防する可能性がある
  • マウス実験で有意な効果が確認され、今後の人間への応用研究が期待されている
  • βグルカンはキノコ類や麦類、健康食品に多く含まれる
  • 日常の食事にキノコを取り入れることが、免疫力を底上げする第一歩
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