🥩ステーキはなぜ「休ませる」べき?科学的にわかった本当の理由と最新の議論

🥩ステーキはなぜ「休ませる」べき?科学的にわかった本当の理由と最新の議論 #news
しかし、近年ではこの“常識”に対して科学的な観点から再検証が行われ、議論が巻き起こっています。果たして、肉を休ませることには本当に意味があるのか? 最新の研究や実験結果をもとに、深掘りしてみましょう。

ステーキを焼いた後、すぐに切らずに少し置いておく「休ませる(レスト)」という工程。
料理のプロやレシピ本でも当たり前のように推奨されるこの手法には、「肉汁を閉じ込める」「余熱で火を通す」などの理由が挙げられます。

しかし、近年ではこの“常識”に対して科学的な観点から再検証が行われ、議論が巻き起こっています。果たして、肉を休ませることには本当に意味があるのか? 最新の研究や実験結果をもとに、深掘りしてみましょう。

🍖「肉を休ませると肉汁が戻る」は本当か?

多くのシェフや料理研究家は、「休ませることで筋繊維が緩み、中心に押し出された肉汁が再吸収される」と主張しています。
この考え方を裏付けるように、食品科学の専門家であるJ.ケンジ・ロペス=アルト氏は2009年の実験で、休ませた肉のほうが明らかに肉汁の流出が少なかったことを報告しました。

この実験では、54℃まで焼いたステーキ肉を「すぐにカット」「2分半休ませる」「5分休ませる」など段階的に比較。
その結果、休ませた時間が長いほど肉汁の量は減少し、切り口から溢れ出す汁も穏やかになっていく傾向が見られました。

🧪一方で「休ませる必要はない」とする科学的反論も登場

2013年にはバーベキュー専門サイト「AmazingRibs.com」が、肉を休ませる必要はないという逆の主張を展開しました。

その主張は以下のようなポイントに基づいています:

  • ジューシーさは「水分の保有量」だけで決まるものではない
  • 切った時に出る肉汁は、実際に食べる段階で舌に触れれば“回収”できる
  • 長く休ませると、表面のパリッとした食感が損なわれてしまう

さらに2024年には、食品科学者であるクリス・ヤング氏がYouTube動画で行った最新の検証が注目を集めています。

🌡️内部温度こそがカギ?ヤング氏の反証実験とは

ヤング氏は、中心温度が同じ状態の肉で比較すれば、休ませたかどうかで肉汁の流出量は変わらないと主張。
つまり、「肉を休ませても、内部温度が高ければ結局は肉汁は出る」という実験結果を示しました。

その根拠はこうです:

🔥【高温の肉】 → 内部の水分の蒸気圧が高く、切ると肉汁があふれやすい
❄️【冷めた肉】 → 蒸気圧が低くなり、肉汁が出にくくなる

この視点に立てば、「休ませる=肉汁の再吸収」ではなく、温度による物理的な変化が主な理由であると考えられます。

🧑‍🍳では実際の“ジューシーさ”には違いがあるのか?

料理メディア「Serious Eats」のライターであるダニエル・グリッツァー氏は、以下のようなブラインドテストも実施しました。

  • 条件1:60℃の内部温度に達した直後にカット
  • 条件2:余熱で60℃に達するまで休ませてからカット

この肉を30回の試食ラウンドで比較したところ、休ませた方を「よりジューシー」と評価したのは16回
つまり、「休ませた方がジューシー」と感じる割合はごくわずかで、統計的な有意差はほとんどないといえます。

🔥休ませることで火入れの安定は得られる

ただし、グリッツァー氏自身は「休ませた肉のほうが均一に火が通っていた」とコメントしています。
休ませることで、外側の高温が内側へとじわじわ伝わり、肉の中心まで均一に火が入る効果があるのは事実です。

これにより、ミディアムレアやレアなどの繊細な火入れ加減を狙いやすくなるという実用的な利点があるのです。

📝結論:「肉を休ませる=正解」ではないが“使いどころ”はある

これまでの研究結果から導き出せる結論は、以下のようにまとめられます。

  • 肉を休ませることで肉汁の再吸収が起きる科学的根拠は薄い
  • 内部温度が下がることで肉汁が“出にくくなる”のが主な理由
  • 火の入り具合を安定させたい場合は、休ませるのが有効
  • ただしジューシーさに関しては“休ませたほうが優れている”とは限らない

つまり、肉を休ませることには**“科学的メリット”と“食感へのデメリット”が共存**しており、目的に応じて判断するのが賢明です。

🍽️【実践アドバイス】どうすればベスト?

🔥 理想の焼き方をしたいなら…

  • ステーキを内部温度55〜57℃で早めに取り出し
  • アルミホイルで軽く包み、3〜5分ほど休ませる
  • カリッとした外側を維持したい場合は、表面を乾かしてから再度軽く焼く

このように、「狙う仕上がり」に応じて休ませ方を調整するのが、最も効果的なアプローチです。

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