世界で最も高価なコーヒー豆として知られる**「コピ・ルアク(Kopi Luwak)」**。
その独特な製法と香りの秘密が、最新の化学分析によって明らかになりました。
研究チームは「ジャコウネコの消化過程が、豆の化学組成を変化させている」と報告しています。
📄 出典:
- Civet Robusta and natural Robusta coffee are different on key fatty acid methyl esters and total fat | Scientific Reports
- Chemistry: The key to civet coffee is in the chemistry | EurekAlert!
- World’s Most Expensive Coffee Is Chemically Different Because It’s Literally Poop | ScienceAlert

🐾 コピ・ルアクとは?──“うんちコーヒー”の仕組み
コピ・ルアクは、ジャコウネコ(パームシベット)が完熟したコーヒーチェリーを食べるところから始まります。
果肉は消化されますが、種であるコーヒー豆は消化されずに排出されます。
この未消化の豆を洗浄・乾燥・焙煎して作られるのが、世界的に知られる高級コーヒー「コピ・ルアク」です。
💰 その希少性と独特の風味から、1kgあたり1000ドル(約15万円)以上で取引されることもあります。
ただし、近年では「狭い檻でジャコウネコにコーヒー果実だけを食べさせる」
といった倫理的な問題も国際的に指摘されています。

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🔬 研究概要:野生ジャコウネコ由来の豆を科学的に分析
インド・ケーララ中央大学の研究チームは、
- 同一農園で収穫した通常のロブスタ種の豆
- 野生のジャコウネコのふんから採取したコピ・ルアク豆
を比較分析しました。
全サンプルを洗浄・粉砕した後、化学的組成を詳細に測定。
その結果、明確な違いが複数確認されました。

☕ コピ・ルアクの豆は「大きく」「脂肪分が多い」
分析によって明らかになった主な差異は以下の通りです。
- 🫘 コピ・ルアクの豆は通常の豆よりも大きい
- 🧈 脂肪分(脂質)が多い
- 💪 タンパク質とカフェイン含有量は同等
特に注目されたのは、
**カプリル酸(オクタン酸)とカプリン酸メチルエステル(デカン酸メチル)**の増加です。
これらの脂肪酸メチルエステルは、
コーヒーの「乳製品のような香り」や「まろやかなコク」を形成する要因とされており、
コピ・ルアク特有の芳醇な香りの化学的根拠と考えられています。

🔄 ジャコウネコの消化が生む“自然発酵”の奇跡
研究チームは、
「ジャコウネコの腸内を通過する際、酵素と微生物による自然発酵が起こり、
コーヒー豆の化学組成が変化している」
と説明しています。
この“消化による発酵プロセス”が、
豆に独自の甘い香りや滑らかな後味を生み出すと考えられます。
つまり、コピ・ルアクの価値は「偶然」ではなく、
生物学的な化学変化によって支えられていたのです。
⚗️ 注意点:対象はロブスタ種、焙煎後の変化も
今回の研究対象はロブスタ種のコーヒー豆ですが、
実際の市場で取引されるコピ・ルアクの多くはアラビカ種です。
また、今回の分析は焙煎前の生豆に対するものであり、
焙煎による化学的変化(揮発性化合物や酸化反応)は今後の課題とされています。
研究チームは、
「今後は焙煎後の香気成分を含めた分析で、風味の根拠をさらに明確にしたい」
とコメントしています。
🌏 “高級コーヒー”の裏側──倫理と自然のバランス
コピ・ルアクは高級ブランドとして世界中で人気ですが、
工場的飼育による動物虐待問題も報告されています。
真に希少価値があるのは、
「野生のジャコウネコが自然に食べ、自然に排出した豆」
であり、倫理的な生産管理の重要性が今後ますます問われそうです。
