急成長を遂げるAIスタートアップ「Windsurf」が、2025年7月11日、Googleと約3500億円（24億ドル）の契約を結んだことを発表しました。この契約により、WindsurfのCEOヴァルン・モハン氏や共同創設者のドウグラス・チェン氏らが、GoogleのAI研究部門「Google DeepMind」に移籍します。
これまでOpenAIが買収を目指して協議を進めていたとされるWindsurfですが、その交渉は最終的に破談となり、Googleが技術ライセンスと人材を確保するかたちで大きく動いた形となります。
🧠Windsurfとは？：注目されたAIコーディング技術の開発企業
Windsurfは、AIを活用した**次世代コードエディター「Windsurf Editor」**などを開発しているスタートアップ企業。ソフトウェア開発を効率化するAIエージェントの分野で急成長しており、OpenAIやMetaなどの大手企業が注目していた存在です。
特に近年注目されている「エージェントコーディング（Agent Coding）」の分野においては、Windsurfは独自の技術力と研究者チームを有し、今後のAI開発における要となると見られていました。
🔄買収からライセンス契約へ：OpenAIとの交渉は決裂
複数の海外メディアによると、OpenAIは2025年初頭からWindsurfの買収を狙って買収交渉を進めていたものの、最終的に契約には至らず、Googleとの契約締結に転換した形です。
この契約では、GoogleがWindsurfの経営権や株式を取得することはなく、非独占的ライセンス契約として一部技術を取得。あわせて、Google DeepMindへの人材移籍が発表されました。
👥移籍と人事：CEO・共同創業者・研究チームがDeepMindに合流
Windsurfのヴァルン・モハンCEO、共同創業者のドウグラス・チェン氏、そして研究開発チームの一部は、Google DeepMindに移籍し、「Geminiプロジェクト」など次世代AIの開発に携わると報じられています。
一方、Windsurfの事業は継続されており、事業責任者のジェフ・ワン氏が暫定CEOに就任。また、国際販売担当VPのグラハム・モレノ氏が新社長に昇格しています。公式ブログでは「世界クラスのチームのほとんどは引き続き企業向け製品の構築に注力する」と説明されました。
💰契約の内容と金額：Googleは24億ドルを投資
この契約においてGoogleは、以下の内容をWindsurfと締結したと報じられています：
- WindsurfのAI技術に関する非独占ライセンス
- CEOおよび一部従業員の人材移籍契約
- 総額24億ドル（約3500億円）の契約金
（ライセンス料＋移籍ボーナス＋継続協力に対する報酬）
Googleの広報担当者は、「Windsurfの優れたAI人材を迎えられたことを誇りに思う」とコメントし、Geminiの強化に期待を寄せています。
🔍Windsurf人材の行き先：Geminiのエージェントコーディング強化へ
DeepMindに移籍したWindsurfの主要人材は、Geminiにおける「エージェントコーディング」開発に従事する予定です。エージェントコーディングとは、AIがタスクの実行やコード生成を自律的に行う次世代技術で、OpenAIのCode Interpreter（Advanced Data Analysis）やAnthropicのClaude Automationにも匹敵する分野です。
Googleとしては、ChatGPTとの競争を優位に進めるべく、Geminiを強化する目的でこの契約を締結したと見られます。
🌐激化するAI人材獲得競争：Meta・Apple・OpenAIも参戦中
AI業界では現在、人材の争奪戦がかつてないほど激化しています。
- Metaは2025年、Scale AIに2兆円規模の出資を行い、CEOのアレクサンダー・ワン氏を自社の「スーパーインテリジェンスラボ」に迎え入れました。
- AppleやOpenAIからの人材引き抜きも積極的に行われており、AI技術に関わる「頭脳資産の争奪戦」がヒートアップしています。
- Metaのザッカーバーグ氏は「ザ・リスト」と呼ばれるトップAI人材リストを用いて、数億円単位の報酬でスカウトしているとも報じられています。
今回のWindsurfの契約も、この業界全体の流れの中で象徴的な出来事といえます。
🔚まとめ：AI業界の地殻変動を象徴するWindsurfとGoogleの契約
- 💼 OpenAIが買収を狙ったWindsurf、最終的にGoogleと契約
- 👨💻 CEOや研究者はGoogle DeepMindに合流、Gemini開発に貢献
- 💰 Googleはライセンス料等で24億ドルを支払い
- 🧠 エージェントコーディング分野の技術獲得が主目的
- 🌍 Meta・Apple・OpenAIなども人材確保にしのぎを削る
今後、Windsurfが企業向けサービスをどう発展させていくか、そして移籍したメンバーがGeminiにどんな変革をもたらすかにも注目が集まります。
