Google検索責任者「AI導入後もクリック数は安定」発言に疑問の声、データ非公開で説得力欠く

Google検索責任者「AI導入後もクリック数は安定」発言に疑問の声、データ非公開で説得力欠く #news
Google検索は2024年5月から「AIによる概要(AI Overview)」を導入し、ユーザーが入力した質問やキーワードに応じてAIが情報を要約して表示する仕組みを採用しました。

Google検索は2024年5月から「AIによる概要(AI Overview)」を導入し、ユーザーが入力した質問やキーワードに応じてAIが情報を要約して表示する仕組みを採用しました。
この機能によってユーザーは検索結果ページ内で完結できるようになり、ウェブサイトへの訪問が減るのではないか――そんな懸念が世界中のパブリッシャーやメディア関係者から噴出しています。

これに対し、Google検索の責任者リズ・リード氏は「トラフィックの総量は安定している」と反論しました。しかし、その根拠となる具体的なデータは公開されておらず、批判の声は収まりそうにありません。

🔎 「AIによる概要」とは何か?

「AIによる概要(AI Overview)」とは、検索したユーザーが知りたい情報をAIが複数のサイトから集め、検索結果ページの上部にまとめて表示する機能です。

  • 例:
    「次の満月はいつ?」と検索 → AIが直接日付を提示 🌕
    「昨日の野球の試合結果」 → AIがスコアをまとめて表示 ⚾

こうした仕組みにより、ユーザーはリンクをクリックしなくても満足してしまい、ウェブサイトへの流入が減少するのではないかと懸念されています。

📉 実際に減少するウェブトラフィック

懸念は杞憂ではなく、すでにデータで裏付けられています。

  • 調査会社Similarwebによると、2025年までの3年間で大手ニュースサイトのアクセス数は激減。
    • HuffPostThe Washington Post では約50%ものトラフィック減少。
  • ピュー研究所の調査では、「AIによる概要」が表示された検索結果では、ユーザーがリンクをクリックする割合が明らかに低下。

つまり「AIで概要が出ると、人はクリックしなくなる」ことが統計的に示されているのです。

🗣 Googleの反論「トラフィックは安定」

リズ・リード氏は8月6日のGoogle公式ブログにて、次のようにコメントしました。

「Google検索からウェブサイトへのオーガニッククリックは前年比で比較的安定しています」

さらに「AIの導入で人々は検索をより多く行い、結果的に“質の高いクリック”が増えた」とも主張しました。

Googleの言う“質の高いクリック”とは、以下のような行動を指します。

  • 単純な答え(例:天気、スコア)はAIで済ませる
  • 深い調査や購入を伴う検索は引き続きリンクをクリック

つまり、「浅い検索はAIで完結するが、深い検索は引き続きトラフィックにつながる」というのがGoogleの見解です。

🤔 批判の声「データ非公開で説得力なし」

しかし、テック系メディアは懐疑的です。

  • TechCrunch:具体的なデータが提示されないため、説得力に欠ける
  • Ars Technica:クリック数が増えたとされる「フォーラム」は、Googleと提携したRedditを指している可能性が高い

特にRedditは2024年2月にGoogleとAI学習用データ契約を結んでおり、その後検索結果に優遇表示されるケースが増加しました。その結果、2025年第2四半期には 日次アクティブユーザー数が21%増加し、1億1040万人に到達

この状況に対し、「Googleはパブリッシャーに安心感を与えようとしているが、実際は特定サイトを優遇しているだけでは?」という批判が相次いでいます。


🌍 トラフィックの“シフト”現象

リード氏は「全体のクリック数は安定している」としつつも、トラフィックはサイトごとにシフトしていると説明しています。

  • 減少 → 大手ニュースサイト、専門メディア
  • 増加 → フォーラム、動画、ポッドキャスト、SNS投稿など「生の声」を扱うサイト

特に「人々はリアルな体験や個人の視点を求める傾向が強まっている」と指摘しました。


📝 まとめ:Googleの主張と現実のギャップ

  • Googleは「トラフィックは安定」「質の高いクリックは増加」と主張
  • しかしデータ非公開のため説得力に乏しい
  • 実際には大手ニュースサイトの流入は激減
  • 一方でRedditなど特定のパートナーは大幅成長

💡 結論:AIによる概要は検索ユーザーに便利さを与える一方で、既存メディアにとっては大きな脅威になっている。Googleの発言は安心材料にはならず、今後も「誰が利益を得て、誰が割を食うのか」という構造的問題が続きそうです。

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