1. 和式トイレが抱える“見えない脅威”
中国の研究チームが行った最新の調査で、アジアに多く残るしゃがみ式トイレ(和式トイレ)が、洋式トイレに比べて有害な細菌を含むバイオエアロゾル(細菌を含む微粒子)を大量に発生させることが判明しました。
特に大腸菌や黄色ブドウ球菌などの病原性細菌の濃度は、洋式の1.2〜2.6倍に達することが報告されています。

2. バイオエアロゾルとは?🦠
バイオエアロゾルとは、空気中に浮遊する微細な粒子で、その中に細菌やウイルスなどの微生物が含まれています。
これらは呼吸によって体内に取り込まれる可能性があり、感染症の媒介となる危険性があります。
粒子が小さいほど肺の奥深くまで入り込み、健康リスクが高まります。

3. 実験の概要と測定結果
研究は、中国のオフィスビルに設置された和式トイレと洋式トイレの2カ所で実施されました。
- 黄色ブドウ球菌:和式は洋式の1.7〜2.6倍
- 大腸菌:和式は洋式の1.2〜1.4倍
- 排せつ物がある状態で水を流すと、1回目(水のみ)よりもバイオエアロゾル濃度が上昇
- 黄色ブドウ球菌は最大1.8倍
- 大腸菌は最大1.4倍
- 2回目の水洗では粒子がより微細化 → 肺に到達するリスクが高まる

4. 和式トイレで細菌が増える理由
和式トイレは便器が浅く、水の落下距離が長いため水はねが発生しやすい構造です。
洋式トイレと比べて水滴の飛散範囲も広く、空気中に舞い上がる粒子の量が増加します。
また、しゃがむ姿勢のため使用者の顔が便器に近くなり、吸い込むリスクが高まる可能性もあります。

5. 換気の重要性 🌬️
研究では、換気扇を稼働させた場合の効果も検証されました。
- 換気なし:空気中の細菌量が高い状態が持続
- 換気あり:細菌量が約半分に減少
- バイオエアロゾル吸引リスクは約1/10に低下
この結果は、トイレの換気が最も効果的な予防策であることを示しています。
6. 公衆トイレでの感染リスクを下げる方法
日常生活でできる対策としては、以下が有効です。
- 換気扇を常に稼働
- トイレ使用後は速やかに退出し、空気が入れ替わるまで時間を置く
- マスクの着用(特に混雑した公衆トイレ)
- 使用後は十分な手洗いとアルコール消毒
- 洋式トイレでは可能な限りフタを閉めて流す
7. 研究者のコメントと今後の課題
論文筆頭著者のWajid Ali氏は次のように述べています。
「公衆トイレでのバイオエアロゾル曝露は、感染症リスクを高めます。換気システムの改善と効率化により、健康被害を大きく減らすことができます。」
今後は、異なるトイレ設計や洗浄方式による飛散量の比較や、実際の感染事例との関連性を明らかにする研究が期待されます。
まとめ
今回の研究は、和式トイレが洋式よりも多くの細菌を空気中に放出することを明確に示しました。
特に公衆トイレでは、構造の違いだけでなく、換気の有無が感染リスクを大きく左右します。
日常的な対策としては、換気の徹底と手洗いが最もシンプルかつ効果的です。
🚻 見えない“細菌の雲”から身を守るために、今すぐ換気の習慣を見直しましょう。