近年、SNSやゲーム、動画視聴など、インターネットの使用時間が大幅に増える中で「インターネット依存症（Internet Addiction）」が深刻な社会問題となっています。
そんな中、新たな研究で「運動」がインターネット依存の軽減に効果的であることが明らかになりました。特に大学生を対象としたこの研究は、生活習慣改善の可能性を示す希望の光として注目を集めています。
📱なぜ「ネット依存」が問題なのか？ その症状と背景
インターネット依存症とは、オンライン活動（SNS・ゲーム・ショッピング・動画など）に過剰に時間を費やし、現実の生活に支障をきたす状態を指します。
この依存状態に陥ると、以下のような症状が現れることがあります：
- 日常生活の崩壊（昼夜逆転・家族や友人との断絶）
- 睡眠障害や慢性的な疲労感
- 抑うつ、不安、孤独感、無力感
- コントロール不能なネット使用欲求（強迫性）
これらは、脳内の「報酬系」と呼ばれるドーパミンに関連した神経系の過剰な刺激によって引き起こされると考えられています。
🏃運動がもたらす回復効果に注目、中国の研究チームが発表
中国・広西大学の研究チームは、インターネット依存の改善手段として「運動介入」に着目し、14件のランダム化比較試験（RCT）のデータを分析しました。対象は中国国内の大学生760名で、インターネット依存症またはスマホ依存傾向が認められる学生たちです。
✅分析のポイント：
- 対象研究：14件（19の実験データを含む）
- 対象人数：760人の大学生
- 実施期間：4～18週間
- 運動の頻度：週2〜5回、1回あたり50～120分
- 比較対象：運動しない通常グループとの比較
🏀運動の種類は3パターン、最も効果的なのは「組み合わせ型」
研究では、以下の3種類の運動スタイルが調査されました：
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 開放性運動 | 外部の状況に応じて柔軟に動く運動 | バスケットボール、サッカーなど |
| 閉鎖性運動 | 一定の動作を繰り返す、安定した運動 | ランニング、水泳、筋トレなど |
| 組み合わせ型 | 上記2種類を併用 | 例：ランニング＋球技など |
分析結果では、いずれの運動もインターネット依存症状の軽減に効果があり、とくに「開放性＋閉鎖性」の組み合わせ型が最も効果的であることが判明しました。
😊改善されたのはネット依存だけじゃない！ メンタルヘルス全般にも好影響
運動介入を受けた学生たちは、単にネット使用時間が減少しただけではなく、以下のような心理的改善も報告されました：
- 不安感の軽減
- 孤独感の緩和
- 無力感や抑うつ症状の改善
- 疲労感の軽減
- 自己肯定感の向上
これは、運動によって分泌されるエンドルフィンやセロトニンなどの「幸せホルモン」が精神安定に寄与したと考えられています。
🌍研究の限界点：中国以外では同様の結果が出るとは限らない
この研究は中国国内の大学生を対象としたものであり、異なる文化圏や年齢層、職業の人々に対しても同様の効果があるかはまだ確認されていません。
今後、より多様な対象を含む追加研究が期待されます。
📝まとめ：ネット依存から抜け出すには「体を動かすこと」が第一歩
現代社会において、インターネットはもはや生活に欠かせないインフラです。しかし、その利便性の裏側には「依存」というリスクも潜んでいます。
今回の研究は、そのリスクを軽減する手段として「運動」が非常に有効であることを示しました。特に以下のような人は、積極的に運動習慣を取り入れることが推奨されます：
- SNSやゲームをやめられないと感じる
- 睡眠リズムが乱れている
- 気分が沈みがちで集中力が続かない
- 孤独感やストレスを感じやすい
身体を動かすことが、心も救う――
そんな時代が、すでに始まっています。
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