スマートフォンやソーシャルメディアは、現代の若者にとって欠かせない存在となっています。しかし、その使い方によっては深刻なメンタルヘルスリスクを招く可能性があることが、アメリカで実施された最新の研究により明らかになりました。

🌐 総使用時間より「使い方」が重要
コロンビア大学とワイル・コーネル医科大学の研究チームが行ったこの研究は、アメリカに住む4285人の青少年(当時8~10歳)を対象に、4年間にわたってスマートフォンやSNS、ゲームの使用状況とメンタルヘルスを追跡調査したものです。
この研究で注目されたのは、単なるスクリーンタイム(使用時間)ではなく、「依存的な使い方」でした。依存的とは、
- スクリーンから離れられない苦痛や欲求
- スクリーンが学業や運動などの活動を妨げる状態
といった特徴を指し、これを機械学習でグループ化して分析が行われました。

📱 約半数の子どもに高いスマホ依存性
研究開始時点で、スマートフォンに対して高い依存傾向を示す子どもは約半数に上りました。また、24.6%の子どもは追跡期間中に依存傾向が増加していました。ソーシャルメディアについても、約40%が高い依存度または増加傾向を示しました。
一方、ビデオゲームは依存の増加というよりも、最初から依存度が高いグループと低いグループに明確に分かれていました。

⚠️ 自殺行動のリスクが2〜3倍に
調査結果からは、ソーシャルメディアやスマートフォンの依存性が高い子どもは、依存性が低い子どもと比較して以下のリスクが有意に高いことが判明しました。
- ⚡️ 自殺念慮や準備行動のリスクが2~3倍
- ❌ 不安・抑うつ・攻撃性・規則違反などの精神症状が顕著に
一方で、スマホやSNS、ゲームに費やした「総時間」は、これらのメンタルヘルスリスクと直接的な相関を示しませんでした。つまり、時間ではなく使い方が問題だったということです。

📅 研究の意義と今後の政策への示唆
筆頭著者のユンユー・シャオ准教授は、「これは依存的な使い方に焦点を当てた初の長期研究です」と述べ、単なる時間制限ではなく、依存パターンを特定して対処すべきであると提言しています。
依存的な利用パターンは、親や教育者が子どもを守るために注視すべき重要な要素であり、
- 子どもがスクリーンに執着していないか
- 感情の起伏にスクリーンが影響していないか といった日常的な観察が重要になるでしょう。
🌟 結論: スクリーンとの”向き合い方”を見直す時
この研究は、デジタル時代における青少年の健全な育成を考えるうえで、非常に示唆に富んだ内容となっています。社会全体でスクリーンタイムの「量」よりも「質」に目を向け、
- 健康的なデジタルリテラシーの育成
- 依存的利用に対するサポート体制の強化
- 心理的サインへの早期介入
といった取り組みが求められています。
スマホやSNSは便利なツールですが、その使い方次第で未来を左右する存在にもなりうる──。 いまこそ、大人も子どももスクリーンとの関係を見つめ直すタイミングかもしれません。