「背が高いとモテる」「就職に有利」…そんなイメージを持っている方も多いでしょう。
しかし今回発表された最新の研究では、背が高い学生ほど学力も高い傾向があることが明らかになりました。

🧪 研究の概要:学力と身長の関係に注目
この研究は、査読付きの学術誌『Economics and Human Biology』に掲載され、アメリカのデラウェア大学のエイミー・エレン・シュワルツ教授と、セントアンセルム大学のステファニー・コフィー助教授によって実施されました。
🔍 研究で明らかになったこと
- 身長の高い学生は、テストでわずかに良い成績を取る傾向
- 相対的に高身長の学生は、特に英語テストの点数が高い
- この傾向は男女問わず一貫して見られた
📖 原論文:
👉 ScienceDirect – Towering Intellects?
📰 解説記事:
👉 PsyPost – Taller students tend to perform slightly better in school

📈 社会では「背が高い=高収入」も常識?
研究チームによれば、身長と収入の関係はすでに社会科学で確立された知見の1つです。
🌍 例として紹介された国のデータ:
国・地域 | 身長10cmあたりの収入増加率 |
---|---|
アメリカ・イギリス | 週収が4~12%アップ |
韓国 | 月収が6~7%アップ |

この理由として考えられているのは:
- 🗣️ 社会的印象(自信があり、リーダーシップがあるように見られる)
- 🧠 実際に能力が高く、評価されやすい
📊 学力との相関を検証した大規模研究
シュワルツ教授らは、**ニューヨーク市の50万人以上の公立生徒のデータ(2010~2017年)**を分析。
使用された主なデータ項目:
- 身長と体重(肥満かどうか)
- 数学と英語の標準テストスコア
- 出席率、性別、人種などの背景情報
その結果、身長とテストの得点には一貫した正の相関が見られました。
🧮 統計結果の一例
- 男子:身長が1SD(標準偏差)高いと
→ 数学:+0.03SD、英語:+0.039SD - 女子:身長が1SD高いと
→ 数学:+0.034SD、英語:+0.04SD
数字としては控えめですが、学年内で最も高身長の2.5%の生徒は、最も低身長の2.5%に比べて英語スコアが0.18~0.19SDも高かったことになります。

👨🏫 なぜ身長が学力に影響するの?
研究チームは以下のような要因を探りました。
✅ 社会的な影響(相対的身長差)
- 同じ学年でも背が高い生徒は、英語の成績が高くなる傾向あり
- これは**“クラス内での存在感”**が影響している可能性あり
✅ 健康状態は無関係?
- 肥満の有無や欠席率を加味しても、身長と学力の関連性は残った
- つまり、「背が高い=健康=学力が高い」という説明は成立しない
✅ 家庭環境の影響は?
- 幼少期の環境や家庭の固定要因を考慮すると、関連性はやや弱まるが統計的には有意なまま
- よって、身長と成績の関係には確かな実態があるといえる
🗣️ 研究者のコメント
「最も驚いたのは、すべての学年・人種・民族でこの傾向が見られたことです。」
— ステファニー・コフィー助教授
🧭 まとめ:学力と身長、ただの偶然ではない?
今回の研究は、単に「身長が高い=頭も良い」という短絡的な結論ではなく、身長が子どもの社会的立ち位置や自尊心にどう影響し、それが学業にどう反映されるのかを示唆する重要な知見となりました。
🔑 本記事のまとめ
- 身長の高い学生は成績が少し良い傾向がある
- その背景には社会的な認知・心理的な影響がある可能性
- 健康状態や欠席率では説明できない
- 学年・性別・人種に関係なく同様の傾向が見られた