アメリカの上院議員が「DeepSeek禁止法」を計画、中国とのAIの輸出入を規制する新法が提出される

アメリカ上院議員、中国とのAI輸出入を規制する「DeepSeek禁止法案」を提出 #ニュース・社会・コラム

アメリカ上院議員、中国とのAI輸出入を規制する「DeepSeek禁止法案」を提出

アメリカのジョシュ・ホーリー上院議員(共和党)は、AI関連技術を中国と切り離すための新法案「アメリカのAI機能を中国から切り離す法律 (Decoupling America’s Artificial Intelligence Capabilities from China Act)」を議会に提出しました。この法案では、中国企業とのAI技術取引やAIアプリの利用を違法化する方針が示されています。これには、注目される中国発のAIプラットフォーム「DeepSeek」も含まれており、同アプリをダウンロードする行為すら刑事罰の対象になる可能性が浮上しています。

アメリカ上院議員、中国とのAI輸出入を規制する「DeepSeek禁止法案」を提出

DeepSeekとは? その背景と懸念

DeepSeekは、低コストで高性能なAIモデルとして一時注目を集めた中国のAIアプリです。
しかし、その後、以下の懸念が明らかになりました。

  • データ蒸留の疑惑:OpenAIなど他社のモデルからデータを不正に使用した可能性
  • 政府への偏向:国際的な問題に関する質問には回答せず、中国政府に有利な情報を出力する傾向
  • 個人データの漏えいリスク:データ保護に対する懸念が高まる

これらを受け、イタリアでは既にアプリストアからDeepSeekが削除されるなど、国際的な波紋を広げています。

法案の概要と刑罰内容

ホーリー議員の法案は以下の点で大きな影響を与えるとされています。

  • AI技術の輸出入禁止:アメリカ企業による中国との技術取引を全面禁止
  • アメリカ企業の活動規制:中国でのAI研究や企業との提携の禁止
  • 投資の制限:アメリカ企業が中国のAI開発に投資することも禁止

法案が成立した場合、違反者には以下の刑罰が科せられる可能性があります。

  • 最長20年間の懲役
  • 最大100万ドル(約1億5500万円)の罰金

この新法は、中国のDeepSeekを念頭に置いたものであり、DeepSeekが国際的な懸念やアメリカのテクノロジー関連株の暴落を引き起こしたのを受けて提出されたものであると、声明には明記されています。中国のAI「DeepSeek」ショックでハイテク株がパニック売りに、NVIDIAの時価総額が91兆円消し飛んで暴落記録を2倍以上更新 – GIGAZINE

議員の主張とその影響

ホーリー議員は声明で以下のように述べています。

「中国のAIに流れるすべてのドルとデータは、最終的にアメリカに牙をむくものです。アメリカには、自国の技術を最大の敵に渡す余裕はありません。」

一方で、この法案には懸念の声も多く上がっています。

**Center for Democracy & Technology(非営利団体)**のケビン・バンクストン氏は次のように批判しています。

「この法律は、AI研究者やユーザーに対する破滅的な罰則をもたらし、科学的探究や言論の自由に悪影響を与えます。」

今後の見通し:法案の実現可能性は低い?

一部の専門家からは、この法案の成立は困難との見方も出ています。

ワシントンのコンサルティング会社DGA Groupのポール・トリオロ氏は次のようにコメントしています。

「この提案は現実的ではありません。ハイテク業界や他の議員から大きな反対に遭うでしょう。」

アメリカのハイテク産業は中国市場との関わりが深く、急激な切り離しは技術革新や市場競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。

まとめ:国際的なAI規制の今後に注目

今回の法案提出は、米中間の技術覇権争いがAI分野にまで拡大していることを象徴しています。今後もDeepSeekの動向やAI技術を巡る国際的な規制に注視が必要です。


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